陰虚タイプ~熱・渇き~

陰虚体質は、津液・精・血などの陰液不足なひと

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【原因】

陰虚と密接に関連している臓腑は肺・心・肝・腎と胃・大腸です。

  1. 体質が虚弱・先天的な精の不足。
  2. 塩辛いものが好き、温熱の性質をもつ薬を服用している、食べ物の過食などにより陰液が不足するか消耗する。
  3. ストレスで肝の気が詰まったり(肝気鬱結)、肝の火がボーボーと燃え上がり(肝火上炎)、陰液を消耗する。
  4. SEX過多で陰液を消耗する。
  5. 慢性病で陰液を消耗して、生成も不足になる。
  6. 過労で陰液を損傷する。
  7. 熱病後期(高熱・糖尿病・甲状腺機能亢進など)で、陰液を消耗する。
  8. 老化。

陰虚が進むと陽虚(陰陽両虚)やショック状態(亡陰)になることも。
また、ふらつき・めまい・かゆみ・けいれん・ひきつけなどが起こる「内風」・気が滞る「気滞」・血が滞る「血瘀」・水が滞る「水滞」などを起こすこともあります。

肺の陰液(精・血・津液を含む、営養を豊富に含んだ体液のこと)の不足によって、口が渇く、咳が出やすい、痰が出ない、声がかすれるなどの症状が出ます。
陰虚により陽が異常に強くなって、体の内部に熱(「内熱」)が生じ、手のひらと足の裏が熱い、ほてり、潮熱(午後か夜の決まった時間に発熱する)、寝汗の症状が出ます。

心の陰液不足によって、陽が高ぶり、煩躁、手のひらと足の裏の熱感、潮熱、寝汗などの症状が現れます。
心陰不足には精神を安定させる心血の不足も含まれるので、寝つきが悪い、夢をよくみる、忘れっぽいといった症状が現れます。
また、胃の気が順調に下りずに上逆し、げっぷ、しゃっくりが出やすくなります。

肝の陰液不足により、血の不足が不足 ⇒ 目が養えずに目のかすみや乾燥、視力低下、また、筋を養えずに手足のしびれが現れます。
肝の経絡の流れも悪くなるので、わきの下の熱感や痛み、肝陰虚による熱が出て、手のひらと足の裏の熱感、寝つきが悪い、寝汗などの症状が現れます。

腎の陰液不足によって、子どもは発育が遅くなって性機能が低下、大人は老化が早まって、骨が弱くなり、膝腰がだるくなるなどの症状が現れます。
精の不足で脳を満たせないので、めまい、耳鳴り、忘れっぽい、寝つきが悪い、夢をよくみるといった症状が出ます。
また、心陽と肝陽が強くなる原因にもなります。

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【症状】

微熱、頬が赤い、髪につやがない、ほてりのぼせ、暑がり、めまい、耳鳴り、冷たいものが好き、口が渇く、目や肌の乾燥、手のひらと足の裏に熱感がある、煩躁(落ち着かない状態)、寝つきが悪い、寝汗をかく痩せ、便が乾燥している、尿の量が少ない・色が濃い、月経周期が早まる、生理不順、経血量が少ない・色が赤い、閉経、不妊症、舌が紅色、舌が乾燥してひび割れている、舌の苔がほとんどない、脈が弦のようにビンビン響く、脈が細くて速い
※赤色が主な症状

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【ケア】

陰液を滋養し、熱を冷ましましょう

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【タイプ別】

  1. 肝陰虚タイプ
    【原因】肝血虚・津液の不足による肝陰虚
    【症状】主な症状+目のかすみ、頬が赤い、脇肋が灼けるように痛い、脈がびんびん響き細くて速い
    【ケア】陰液を滋養して肝血を補い、肝陰を滋養しましょう
  2. 心陰虚タイプ
    【原因】心血虚・津液の不足による心陰虚
    【症状】主な症状+動悸、不眠、顔が赤い
    【ケア】陰液を養って熱を冷ましましょう
  3. 肺陰虚タイプ
    【原因】肺の津液不足による肺陰虚
    【症状】主な症状+空咳、声がかすれる、痰はないか少なくて粘っこい、痰に血が混じる
    【ケア】陰液を養って肺を潤しましょう
  4. 腎陰虚タイプ
    【原因】陰腎虚により陰液の潤す作用が低下
    【症状】主な症状+足腰がだるい、めまい、耳鳴り、不眠、悪夢、遺精、生理が少ない、閉経、尿が黄色い、便秘
    【ケア】陰液を滋養して腎を補いましょう
  5. 胃陰虚タイプ
    【原因】胃の陰液不足によりげっぷなどが出現
    【症状】主な症状+胃脘部がしくしく痛い・つかえる、げっぷ、しゃっくり、空腹感はあるが食欲はない、口臭、便秘
    【ケア】陰液を滋養して熱を冷まし、胃を養いましょう
  6. 大腸陰虚タイプ
    【原因】大腸の陰液不足により便秘
    【症状】便秘、排便困難、口臭、めまい、脈が細くてなめらかに流れない
    【ケア】陰液を滋養して腸を潤し、便秘を改善しましょう

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【おすすめ食材】

滋陰 : 陰液を滋養します。 血は陰に属するため滋陰によって補血もできます
小松菜・アスパラガス・いちご・白ごま・黒ごま・黒豆・百合根・白きくらげ(銀耳)・松の実・卵・牛乳・チーズ・豚肉・烏骨鶏(うこっけい)・鴨肉・うずらの卵・亀肉・すっぽん・牡蠣(かき)・マテ貝・ムール貝・赤貝・ほたて貝・あわび・くこの実

補血 : 血を補います
にんじん・ほうれん草・小松菜・落花生(ピーナッツ)・ぶどう・ライチ・ひじき・豚足・豚レバー・豚発・いか・たこ

清熱 : 熱を取り除きます
セロリ・きゅうり・トマト・マコモ・バナナ・メロン・マンゴー・豆腐

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【アドバイス】

滋陰がメインですが、補血作用のあるものを一緒に使うことがあります。
また、陰虚のひとは熱症状も現れるので、清熱作用のあるものを併用することが多いです。

生活面では、読書をしたり、安静にするようにしてください。
競争はしないこと。 性生活も抑えて。

住居は南向きにすると良いですよ
夏と秋は暑くて陰液を消耗するので、注意してくださいね。