腎気虚タイプ―気虚シリーズ④

腎の働きが低下

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腎と密接に関係する季節は冬です。 冬は1年のなかで最も寒い季節です。 植物も動物も冬眠し、力を蓄えます。

腎は精を蓄え、冬に通じる臓です。 したがって、春に気を補う補気類を使うほかに、冬には腎を温める助陽類と潤す滋陰類を用いる必要があり、腎の蔵精機能を高める収渋類の使用もお勧めします。

【症状】
体の成長が遅い、髪の毛が切れやすい、白髪・禿げ、記憶力・集中力の低下、足腰がだるくときどき痛む、息切れ、耳鳴り、めまい、耳が遠い、むくみ、尿漏れ、頻尿、遺尿、夜尿が多い、帯下が多い、性機能の低下、初潮が遅い、月経不順、流産しやすい、脈沈・弱

【分析】
虚弱体質・廊下・慢性病・房事(性生活)過多などが原因となって、腎気虚の体質になりやすい。 腎気虚によって気の固摂作用が低下し、尿漏れ・頻尿・遺尿・夜尿が多い・帯下が多いといった症状が現れる。 腎気虚によって吸気を収める働きが低下し、息切れとなる。 腰は腎の府であるため足腰がだるくなる。 腎気虚によって気血が体や耳を滋養できなくなり、体の成長が遅い・髪の毛が切れやすい、白髪・禿げ、記憶力・集中力の低下がみられるようになる。

【立法】
補気益腎・滋補陰陽

【食材】
腎経の補気類 : 長いも・キャベツ・カリフラワー・長ささげ・白豆・霊芝・栗・鳩肉・豚マメ・ウナギ・田ウナギ・スズキ・ナマズ・イシモチ・カツオ・タラ
助陽類 : 韮子・くるみ・羊肉・鹿肉・熊肉・スズメ・エビ・ナマコ・イワナ
滋陰類 : アスパラガス・白きくらげ・黒ごま・鶏卵・ウズラの卵・家鴨肉・豚肉・烏骨鶏・亀肉・アワビ・カキ・マテ貝・ムール貝・ホタテ貝
収渋類 : ざくろ

【中薬】
助陽類 : 冬虫夏草・鹿茸・肉蓯蓉・淫羊藿・杜仲・益智仁・莬絲子・蛤蚧・紫河車
滋陰類 : 麦門冬・沙参・石斛・玉竹・黄精・女貞子・桑椹・百合・枸杞子・亀板・鼈甲
収渋類 : 山茱萸・五味子・蓮実・芡実・烏賊骨

脾気虚タイプ―気虚シリーズ③

脾と胃の働きが低下

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肺と密接に関係する季節は、夏の終わりから秋の初めの長夏という時期と、湿度の高い梅雨の季節です。

長夏は、中医学の発祥地である黄河流域で1年のうちで雨がよく降る季節であることから、六気の湿が主り、食糧となる農作物が実り、成熟する季節とされています。 脾胃は体に営養を提供する臓であるため、この長夏に通じます。 そのため、春に気を上昇させて補う補気類を使うほか、長夏には脾胃を補う必要もあるため、水の代謝とかかわる脾の働きを助ける食薬を使う必要があります。

また、梅雨の季節は雨がよく降り、湿度が高くなるため、「湿を悪(にく)む」という特徴をもち、運化を主る脾の働きが低下し、食欲が落ち、四肢の無力感・重たい感じが現れます。 そのため、長夏と同じ祛湿類を用いる必要があり、さらに水湿を運ぶ理気類も配合します。

【症状】TAKEBE160224290I9A0418_TP_V
食欲が少ない、四肢の無力感、疲れやすい、めまい、腹部の膨満感があり食後に悪化する、下痢、浮腫あるいは消瘦、あざになりやすい、月経不順

【分析】
虚弱体質・慢性病・老化・思い込みなどが原因となって脾気虚弱となり、水穀・水湿を運化する働きが低下して、食欲が少ない・腹部の膨満感があり食後に悪化するという症状がよくみられる。 水湿が四肢に溢れると、四肢の無力感・むくみがみられ、水湿が大腸に流れ込むと下痢しやすくなる。 脾気虚弱によって水穀の精微の生成が足りなくなり、疲れやすい・めまい・消瘦の症状が現れる。 気虚によって凍結作用も悪くなり、あさになりやすい・月経不順の症状がしばしばみられるようになる。

【立法】
補気健脾祛湿
補気類【食材】
脾経の補気類 : うるち米・もち米・オートミール・長いも・じゃがいも・かぼちゃ・さつまいも・キャベツ・いんげん豆・カリフラワー・長ささげ・白豆・しいたけ・栗・桃・牛肉・豚の胃袋・鶏肉・ガチョウ肉・鳩肉・ウズラ肉・ドジョウ・ウナギ・田ウナギ・サバ・タチウオ・カツオ・マナガツオ・スズキ・ナマズ・イシモチ・イワシ・タラ・サメ・ローヤルゼリー・蜂蜜・水飴
祛湿類 : はと麦・萵苣(チシャ)・コイ・フナ・ハモ・シラウオ・フグ・ハマグリ・蛙肉・大豆・黒豆・そら豆・とうもろこし・さくらんぼ・酒
理気類 : たまねぎ・らっきょう・なた豆・えんどう豆・そば・オレンジ・ぶんたん・蜜柑・きんかん・ハマナス・梅の花

【中薬】
祛湿類 : 藿香・佩蘭・菖蒲・沙仁・白豆蔲・草豆蔲・草果・木瓜・茯苓・通草・茵蔯蒿
理気類 : 橘皮・青皮・枳実・枳殻・仏手・木香・大腹皮・茘枝核・柿蔕・檳榔子・甘松・烏薬・厚朴・香櫞・香附子

心気虚タイプ―気虚シリーズ②

心の働きが低下

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心と密接に関係する季節は夏です。 夏は1年のなかで最も暑い季節。
心は「熱を悪(にく)む」という特徴を持っています。
夏の暑さで血流が速くなり、血脈を主る心気の働きを助ける一方、汗をたくさんかいて心気と心の液体を消耗する悪い面もあるため、春に気を上昇させて補う補気類を使うほか、心気を補い、新の液体を滋養し、清熱する必要もあります。

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顔色が蒼白、心悸、めまい、精神不振、汗をかきやすい、胸のつかえ、舌色が淡い、舌苔白色、脈虚・不整脈

【立法】
補気養心

【分析】
虚弱体質・気の生成不足・慢性病・老化・精神的な素因などが原因となって心気虚弱となり、血液を循環させる力が弱くなって、無理に動こうとするため、心悸、胸悶、息切れ、不整脈が現れる。 心を養わなくなることで心血も不足し、顔面を滋養できず顔色が蒼白になる。

【食材】
心経の補気類 : 霊芝 常用される心経に入りやすい補気類は少ないので、補気類の食材を自由に選んで使ってください
滋陰類 : アスパラガス・鶏卵・ロバ肉・牛乳carrots-29622_1280
養血類 : にんじん・竜眼肉・豚ハツ
清熱類 : 小麦・苦瓜・緑豆・すいか・りんご・メロン・茶葉

【中薬】
滋陰類 : 麦門冬・桑椹・百合・亀板
養血類 : 当帰
清熱類 : 竹葉・淡竹葉・山梔子・生地黄・牡丹皮・紫草・板藍根・連翹