むくみは、中医学で「水腫」と言います。 まぶた・顔・四肢および全身にむくみが現れる津液代謝異常の病症です。
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古典にみる水腫
古くから、この病気は、水・水気・湧水などと言われていました。
『黄帝内経』では水腫は「水」と呼ばれ、症状の違いによって風水・石水・湧水と分類されていました。 『金匱要略』では風水・皮水・正水・石水の4種類に分類。 「風水其脈自浮、外証骨節疼痛、悪風。 皮水其脈也浮、咳証胕腫、按之没指、不悪風、其腹如鼓、当発其汗。 正水其脈沈遅、咳証自喘。 石水其自沈、咳証腹満不喘」とあり、それぞれの症状・脈象が書かれています。
『黄帝内経』至真要大論に「諸湿腫満皆属於脾」(すべての湿証・水腫・脹満の症状は脾に属する)と記載されていて、また水熱穴論篇第六十一には「帝曰、腎何以能聚水而生病? 岐伯曰、腎者胃之関也、関門不利、故聚水而従其類也。 上下溢于皮膚、故為胕腫。 胕腫者、聚水而生病也」(なぜ水腫という病気は腎に関係するのか? 腎は胃の堰で、腎の開閉作用が異常になると水がたまってしまい、胕腫になる。 腑腫とは全身の水腫のことである)とあります。 このように昔から水腫に関しては、脾の運化作用と腎の気化作用が影響していることがわかっていました。 体内の正常な水分を津液といい、異常な水分は湿・痰飲・水という病理産物となり、これには脾と腎の機能が関係しています。
また『黄帝内経』逆調論篇第三十四に「腎者水臓、主津液、主臥与喘也」(腎は五行の水に属し、水臓といえる。 津液を主り、病気のときに横になると、喘息の症状が現れる)、同じく評熱病論篇第三十三に「諸有水気者、微腫先見于目下也……諸水病者、故不得臥、臥則驚、驚則咳甚也」(水腫はまず目の下にむくみがみられる……水病は、横になることができない、横になると苦しくなり、驚悸して激しい咳になる)と水腫に関する症状の記載があります。
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