脾と胃の働きが低下
肺と密接に関係する季節は、夏の終わりから秋の初めの長夏という時期と、湿度の高い梅雨の季節です。
長夏は、中医学の発祥地である黄河流域で1年のうちで雨がよく降る季節であることから、六気の湿が主り、食糧となる農作物が実り、成熟する季節とされています。 脾胃は体に営養を提供する臓であるため、この長夏に通じます。 そのため、春に気を上昇させて補う補気類を使うほか、長夏には脾胃を補う必要もあるため、水の代謝とかかわる脾の働きを助ける食薬を使う必要があります。
また、梅雨の季節は雨がよく降り、湿度が高くなるため、「湿を悪(にく)む」という特徴をもち、運化を主る脾の働きが低下し、食欲が落ち、四肢の無力感・重たい感じが現れます。 そのため、長夏と同じ祛湿類を用いる必要があり、さらに水湿を運ぶ理気類も配合します。
【症状】
食欲が少ない、四肢の無力感、疲れやすい、めまい、腹部の膨満感があり食後に悪化する、下痢、浮腫あるいは消瘦、あざになりやすい、月経不順
【分析】
虚弱体質・慢性病・老化・思い込みなどが原因となって脾気虚弱となり、水穀・水湿を運化する働きが低下して、食欲が少ない・腹部の膨満感があり食後に悪化するという症状がよくみられる。 水湿が四肢に溢れると、四肢の無力感・むくみがみられ、水湿が大腸に流れ込むと下痢しやすくなる。 脾気虚弱によって水穀の精微の生成が足りなくなり、疲れやすい・めまい・消瘦の症状が現れる。 気虚によって凍結作用も悪くなり、あさになりやすい・月経不順の症状がしばしばみられるようになる。
【立法】
補気健脾祛湿
【食材】
脾経の補気類 : うるち米・もち米・オートミール・長いも・じゃがいも・かぼちゃ・さつまいも・キャベツ・いんげん豆・カリフラワー・長ささげ・白豆・しいたけ・栗・桃・牛肉・豚の胃袋・鶏肉・ガチョウ肉・鳩肉・ウズラ肉・ドジョウ・ウナギ・田ウナギ・サバ・タチウオ・カツオ・マナガツオ・スズキ・ナマズ・イシモチ・イワシ・タラ・サメ・ローヤルゼリー・蜂蜜・水飴
祛湿類 : はと麦・萵苣(チシャ)・コイ・フナ・ハモ・シラウオ・フグ・ハマグリ・蛙肉・大豆・黒豆・そら豆・とうもろこし・さくらんぼ・酒
理気類 : たまねぎ・らっきょう・なた豆・えんどう豆・そば・オレンジ・ぶんたん・蜜柑・きんかん・ハマナス・梅の花
【中薬】
祛湿類 : 藿香・佩蘭・菖蒲・沙仁・白豆蔲・草豆蔲・草果・木瓜・茯苓・通草・茵蔯蒿
理気類 : 橘皮・青皮・枳実・枳殻・仏手・木香・大腹皮・茘枝核・柿蔕・檳榔子・甘松・烏薬・厚朴・香櫞・香附子