こどものための薬膳

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 こどもの元気・健康は「食」から! 「食」に使うものは食材です。 食材に関する知識が多ければ多いほど、こどもの健全な発育に役立ちますよ❤ また、こども時代にたくさんの味を覚えることは、偏食しない食習慣の土台を築き、一生の食生活に大きな影響を与えます。 そのほか、性格の形成、包容力の発達にも役立ちます。

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おすすめ食材

  1. 温性の食材を選ぶ
     こどもは「純陽の体」といわれ(参照 → )、元気に成長していきますが「腎気未充」でもあり腎の発育は不十分。 また、消化器系は「脾常不足」で臓腑の働きもまだ弱いのです。 こういった生理的特徴を十分に理解し、温かい性質の食材を選び、温かい料理を食べさせることが大事
    たとえば、もち米・米・にら・かぼちゃ・鶏肉・豚肉・牛肉・たちうお・いわし・さけ・えび・もも・みかん・くるみ・松の実・栗など

     

  2. 平性の食事は組み合わせやすい
     常用される食材は、平性のものが最多 中立的な性質で温性・熱性・涼性・寒性、どの食材にも組み合わせやすい食材です。 一年中、どんな体質にもどんな病気のときにも利用でき、いろいろなメニューが楽しめます♬ 特にこどもは「肝常有余」という、肝機能が興奮しやすい生理特徴があるので、肝を穏やかに発育させるために平性の食材を用います。

     

  3. 涼性の食材を上手に応用する
     暑い夏にはからだを冷やす涼性の食材を用います。 また、こどもの精神不安定、興奮している「肝常有余」の状態、発熱の症状があるときにも用います。
    たとえば、小麦・大麦・はと麦・そば・粟・セロリ・ほうれん草・青梗菜・きゅうり・トマト・冬瓜・なす・大根・鴨肉・おから・緑豆・りんご・梨・びわ・マンゴー・オレンジなど

     

  4. 甘味の食材と砂糖を使い分ける
     甘味の食材はからだを補い、消化機能を調節するのでおすすめ
    たとえば、米・もち米・さつまいも・じゃがいも・豆類・牛肉・鶏肉・豚のもつなど。
     わざわざ砂糖を使う必要はありません。 穀類・いも類・野菜・果物などの食材に含まれている自然の甘味は、こどもの成長に十分な糖分を供給できるので、砂糖を余計に取る必要はないと考えられます。
     日本は島国で周りを海に囲まれており湿度の高い国。 さらに食習慣として料理を作るときにほとんど砂糖を使っています。 甘いものを食べ過ぎると消化器系の胃・大腸・小腸の働きが妨げられ、食べたものが滞り、食欲不振・消化不良・偏食・肥満などの症状が現れます…‼ もともと十分ではないこどもの消化機能は、甘いものを取り過ぎると、湿度の影響でさらに働きが鈍くなり、虚弱に! ⇒ 食欲不振・嘔吐・下痢、肥満・湿疹・アトピー等の皮膚病などを発症する原因となることが多いのです‼
     こどもは砂糖の甘味を覚えると、盛んに欲しがるようになります。 小さいときからジュース・お菓子・飴などを取り過ぎると、湿が体内に滞りやすい虚弱な体質となるので気をつける必要があります。

     

  5. 鹹味の食材は元気のもと
     鹹味を持っている食材には、魚介類、鶏肉・牛肉・豚肉・豚の骨・豚のまめ(豚の腎臓)・豚のレバー・鮫・たら・いわし・かつお・なまず・いしもち・まながつお・すずき・さば・たちうお・うなぎ・ほたてなどの食材があります。 これらの鹹味を持つ食材は腎に入りやすく、精血を作り、脳の発達を促進し、知能を高め、身長を伸ばし、性機能の発達を促進する働きがあります。
     薬膳学の基礎になる中医学は古くから動物性の精・気・血がある食材を「血肉有情の品」といい、脳とからだを養うのに最も有効な食材としています。

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その他の食材

  1. 寒性の食材
     からだを冷やす作用の強い寒性の食材は、できるだけ猛暑の季節や高熱の症状があるときに一時的に使い、症状が緩和したら止める心遣いが必要★ 特に寒性の食材を冷蔵庫に保存し、調理する際に冷蔵庫から出してすぐ使うことは、こどもの陽気を傷めるので避けましょう。 体を冷やし過ぎると、こどもの成長に影響するので食材や調理法に気をつけましょう。
     たとえば、寒性のすいかは冷蔵庫に入れるとさらに甘く美味しくなります。 しかし中医学ではすいかを「天然の白虎湯*」といい、熱を取り、からだを冷やす力がとても強いので、室温の状態で保存して食べることをおすすめします

    *白虎湯〈びゃっことう〉 : 高熱、ひどい発汗、のどの頻繁な渇き、顔の赤みが目立つときなどの症状のときにつかう漢方薬

     

  2. 熱性の食材
     熱性の食材はからだを温め、発汗を促し、気血循環をよくし、痛みを緩和し、興奮させるなどの働きがあります。 機嫌が悪いときや、元気をなくしたときに一時的に使うと、気分が伸びやかに愉快になります。 しかし感情が不安定で、興奮しやすいこどもには唐辛子・シナモン・生姜・ねぎ・にんにく・胡椒・山椒などのような辛いものは、たくさん使わないように気をつけます。

     

  3. 酸味の食材
     夏の暑さで、こどもがたくさん汗をかき、のどの渇きを訴え、脱力しているときに用います。 また、慢性の咳やぜんそく、頻尿、夜尿にも用います。

     

  4. 苦味の食材
     苦い味はこどもが受け入れにくいため、あまり利用されません。 しかし、熱と毒を取る働きがあるので、高熱・のどの渇きと痛み、皮膚の赤みや腫れ、下痢や便秘などの症状のときに一時的に用います。

     

  5. 辛味の食材
     辛味はかぜのときや機嫌がよくない時に、気血循環をよくし体を温める、発汗を促す、興奮させるなどの効果がありますが、病気ではないときはなるべく避けましょう。

 

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