産後の病気④―腹痛

 産後、子宮が収縮することにより腹痛が引き起こされると、産後腹痛と診断されます。 一般的には1~3日間で緩和されますが、腹痛がひどい場合は治療が必要になります。

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1.原因

1.寒凝血瘀:
産後、血道空虚、寒邪が侵入→衝任が阻滞され、産後、瘀血が胞宮に停留される 

2.血虚 :
お産の大出血 ⇒ 血虚 ⇒ 気随血脱 ⇒ 気血両虚 ⇒ 血運不調

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2.治療

1.寒凝血瘀 :

小腹部疼痛拒按、熱に合うと緩和される、悪露量が不下・少ない、固まりがあり・色が黒、四肢不温、舌苔白滑、脈沈細・細渋

立法 :
活血化瘀・温経散寒

方剤 :
生化湯(当帰 川芎 桃仁 炮姜 炙甘草)
加える:肉桂 呉茱萸

 

2.血虚 :

産後小腹部疼痛、喜按、悪露が少ない、色が薄い、めまい、耳鳴り、心悸、顔色不華、便秘、舌質淡、脈虚弱

立法
補血益気

方剤 :
腸寧湯(当帰 熟地黄 党参 阿膠 山薬 甘草 麦門冬 続断 肉桂)

産後の病気③―発熱

 胎盤娩出(べんしゅつ)後から母親の生殖器官が正常に回復する期間を産褥期(さんじょくき)といい、約6週間がかかります。 産褥期の発熱症状を中心とした症状が産後発熱と診断されます。

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1.原因

  1. 感染邪毒 :
    産後 ⇒ 気血両虚 ⇒ 消毒・看護の不適切
    邪毒熾盛 ⇒ 営血侵入 ⇒ 産後の性生活
  2. 血瘀 :
    産後寒邪の侵入・ストレス ⇒ 衝任が阻滞され、悪露が排出不調 ⇒ 血瘀
  3. 外感 :
    産後 ⇒ 気血両虚 ⇒ 外邪の侵入
  4. 血虚 :
    お産の大出血 ⇒ 血虚 ⇒ 気が委付するところが不足で陽気が外に浮揚する

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2.治療

1.感染邪毒 :

高熱、寒くて震える、小腹部疼痛拒按、悪露量が多いか少ない、色が黒、臭い、煩燥、小便短赤、便秘、舌質紅、舌苔黄、脈数有力

立法 :
清熱解毒・涼血化瘀

方剤 :
解毒活血湯(連翹 葛根 柴胡 枳殻 当帰 生地 赤芍薬 紅花 桃仁 甘草)
加える : 金銀花 益母草

 

2.血瘀 :

寒熱時作、悪露不下、あるいは悪露が少ない、色が黒、塊がある、小腹部疼痛拒按、のどが乾燥し飲みたくない、舌質黒瘀点、脈弦渋

立法 :
活血化瘀・清熱和営

方剤 :
生化湯(当帰 川芎 桃仁 炮姜 炙甘草)
加える : 丹参 丹皮 益母草

 

3.外感 :

悪寒、発熱、頭痛、鼻が詰まる、体が疼痛、無汗、或いは咳、鼻水、舌苔薄白、脈浮

立法 :
養血去風・疎解表邪

方剤 :
荊防四物湯(当帰 川芎 地黄 芍薬 荊芥 防風)
加える : 蘇葉

 

4.血虚 :

産後出血が多い、微熱、汗、めまい、心悸、不眠、悪露が少ない、色が薄い、舌尖辺紅、舌苔薄白、脈虚細略数

立法 :
養血益気・和営退熱

方剤 :
八珍湯加減(人参 白朮 茯苓 炙甘草 黄耆 当帰 地黄 芍薬)

産後の病気②―悪露不絶

 産褥期に陰道から排出される血性液体は産後約2~3週間内できれいになります。 この時間を越えても排出があることは悪露不絶といいます。

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1.原因

気虚
虚弱体質、お産の時に血を失ってしまうと同時に気も消耗される
産後、早いうちに労働し、脾を傷め、衝任不固、気虚により摂血が低下になる

血熱
陰虚体質、お産の時に陰血をさらに失ってしまって熱が生じる
産後、辛熱温燥のものの取りすぎ
熱邪の侵入
肝鬱が化熱する

血瘀
産後胞脈空虚、寒邪が侵入 ⇒ 寒凝血瘀
胞衣残留 ⇒ 血不帰経

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2.治療

1.気虚

悪露不止、量が多い、色が薄い・希薄、無臭、小腹部空堕、疲れ、少語、顔色が白、舌質淡、脈緩弱

立法 :
補気摂血

方剤 :
補中益気湯(人参 黄耆 炙甘草 当帰 柴胡 白朮 陳皮 升麻)

 

2.血熱

悪露不止、量が多い、色が赤い、質が粘濃、臭い、顔色が紅い、のどが乾燥、舌質紅、脈虚細略数

立法 :
養陰清熱・涼血止血

方剤 :
保陰煎(生地黄 熟地黄 山薬 白芍薬 続断 黄芩 黄柏 甘草)

 

3.血瘀

悪露不下、あるいは悪露が少ない、色が黒、塊がある、小腹部疼痛拒按、舌質黒瘀点、脈弦渋・沈有力

立法 :
化瘀止血

方剤 :
生化湯(当帰 川芎 桃仁 炮姜 炙甘草)
加える : 益母草・炒蒲黄