薬膳を学ぼうと思った時に、食事と関わる学習なので簡単だと思ったら、いざ学び始めるとこんなにも難しいのかとびっくりしましたという感想をよく耳にします。
そうですね、薬膳の勉強は、見た目は簡単ですが、実際は学問としては奥の深い世界です。 私たちがこれまでに受けてきた現代教育では、身体に対する認識は西洋医学の解剖・生理機能が中心、食生活の知識は栄養学の栄養素の計算が中心となっていて、頭の中にこのような知識が充満し、定着しています。
しかし、薬膳は中医学に属し、私たちにとって未知の世界の知識です。 大昔の宇宙・自然に対する認識は、隠さない、汚染のない透明的、直観的な観察で、物事の一番本質に近い考え方となっています。 身体に対する認識も解剖より機能性が中心となっています。
最も面白い考え方は、「脳」についての認識です。 現代医学は記憶力・思考力は「脳の働き」と捉えていますが、中医学はこれらの働きは「心」と関わっていると捉えています。 「脳」と「心」との異なる見解はいつも中医学と西洋医学の論争を起こしています。 器官移植の技術が素晴らしく発展している今の時代、心臓移植により提供体のある個性が移植される側に移ったという報告もあり、心が記憶力をもつという考え方も提示されています。 日常生活で、私たちは「心当たりがありますか」「御心配をかけました」などの言葉をよく口にします。 誰も「脳当たりがありますか」「御脳配をかけました」とは言わないですよね。
中医学の世界は広くて奥が深いので、これから学習を始める方は、まず、新しい知識を邪魔する現代医学・栄養学の知識を忘れ、素直に薬膳の知識を受け入れましょう。 すぐには理解しなくても大丈夫、この道を歩んでいるうちに実践・経験から中医学の理論が分かってきます。 理解してから、中医学と西洋医学の知識を合わせて自分に・家族に・親友に・世の中に一番良い食生活を提案できるように頑張ってください。
勉強する方法として、学習・復習・まとめるという繰り返す方法を提案します。 古人いわく「温故知新」「旧書不厭百回読、熟読深思子自知」。 教科書を繰り返して何回に読むうちに理解し覚えていきます。
薬膳の道を選んだ皆さん、この道は細く長いですが、前途は明るいので、私と一緒に頑張っていきましょう。