胃陰虚タイプ―陰虚シリーズ③

血・津液・精といった陰液の不足

8904b7578d850ad192e756898c2dfcf4_s 胃は肺と同じく乾燥を嫌い、潤すことを好む特徴を持っています。 乾燥する秋の気候により胃の陰液が消耗するため、秋には胃を潤し、胃陰虚体質を改善します。

【症状】
消瘦、頬が赤い、原因不明の歯の痛み、歯茎の出血、のどが渇く、空腹感はあるが食欲はない、胃脘がつかえる、げっぷ、しゃっくり、便秘、舌が紅色、舌苔が剥がれている、脈が細くて速い

【分析】
滋潤を好む陰虚体質・精神的な素因・慢性病・慢性の胃の疾患・塩辛いものの嗜好によって、胃の陰液が不足する。 胃が活動しても胃液が足りないため、空腹感は起こるが食欲はなく、胃脘がつかえ、ときどき軽い痛みが走る。 陰虚のために胃熱が強くなり、経絡に沿って歯に上がるため、歯の痛み、歯茎の出血が現れる。 胃陰虚で胃気が順調に下りなくなると上逆し、げっぷ、しゃっくりが現れる。

【立法】
滋陰清熱益胃

【食材フルーツ
胃経の滋陰類 : 小松菜・白きくらげ・ひまわりの種・白ごま・鶏卵・鴨の卵・ウズラの卵・家鴨肉・豚肉・猪肉・兎肉・牛乳・チーズ・ホタテ貝・いちご
胃経の清熱類 : あわ・きび・小麦・大麦・セロリ・白菜・山東菜・水菜・じゅんさい・ヒユ菜・スベリヒユ・タンポポ・マコモ・苦瓜・きゅうり・ズッキーニ・トマト・緑豆・豆腐・湯葉・こんにゃく・ヒシ・すいか・バナナ・りんご・キウイフルーツ・マンゴー・メロン

【中薬】
胃経の滋陰類 : 麦門冬・沙参・石斛・玉竹・黄精・女貞子
胃経の清熱類 : 芦根・竹葉・淡竹葉・荷葉・山梔子・穀精草・天花粉

心陰虚タイプ―陰虚シリーズ②

血・津液・精といった陰液の不足

 心陰虚体質と密接に関係する季節は夏です。 したがって、夏には心の陰液を滋養する必要があります。 心は五行学説では火に属し、熱を発生しやすいため、清熱する必要もあります。

【症状】
頬が赤い、心悸、不眠、多夢、めまい、忘れっぽい、心煩、両手と両足の裏の熱感、寝汗、舌が紅色、舌の乾燥、脈が細くて速い

【分析】
陰虚体質・精神的な素因・慢性病・老化などが原因となって心陰不足の状態が現れる。 心は心血によって神志を主り、心陰不足には心血不足も含まれるため、心陰不足になると心が神志を主ることができず、不眠、多夢、忘れっぽいという症状が現れる。 また、心陰虚によって心陽が亢進すると、心煩、五心煩熱、潮熱、寝汗の症状が現れる。946ac249cd4ba98b00f5b1db779e5c5c_s

【立法】
滋陰清熱益心

【食材】
心経の滋陰類 : アスパラガス・鶏卵・ロバ肉・牛乳
心経の清熱類 : 小麦・苦瓜・緑豆・茶葉・すいか・りんご・メロン

【中薬】
心経の滋陰類 : 麦門冬・桑椹・百合・亀板
心経の清熱類 : 竹葉・淡竹葉・山梔子・生地黄・牡丹皮・紫草

肺陰虚タイプ―陰虚シリーズ①

血・津液・精といった陰液の不足

8904b7578d850ad192e756898c2dfcf4_s 肺気虚体質と同じく、肺陰虚体質と密接に関係する季節は秋です。 肺は潤いを好み、乾燥を嫌うという特徴をもち、乾燥する秋の気候により肺の陰駅が消耗するため、秋には肺を潤す必要があります。

【症状】
消瘦、のどの渇き、咳や痰がないあるいは少ない、声がかすれる、熱感、心煩、両手両足の裏の熱感(五心煩熱)、寝汗をかく(盗汗)、舌が紅色、舌の乾燥、脈が細くて速い

【分析】
陰虚体質・タバコや飲酒の嗜好・刺激性の強い飲食・慢性病・老化などが原因となって、肺の陰液不足の状態が現れる。 肺は潤されることを好むため、肺陰虚になるとのどの渇き、咳が出やすい、痰がない、声がかすれるといった症状が現れる。 陰虚により陽亢となって内熱を生じると、五心煩熱、潮熱*、盗汗の症状が現れる。

【立法】
滋陰清熱潤肺

IMG_20160722_132720【食材】
肺経の滋陰類 : 小松菜・アスパラガス・白きくらげ・松の実・ひまわりの種・白ごま・鶏卵・鴨の卵・家鴨肉・猪肉・兎肉・牛乳・チーズ
肺経の清熱類 : きび・セロリ・白菜・山東菜・スベリヒユ・きゅうり・ズッキーニ・豆腐・湯葉・こんにゃく・ヒシ・茶葉・バナナ・さとうきび・マンゴー・メロン

【中薬】
肺経の滋陰類 : 麦門冬・沙参・玉竹・黄精・百合・枸杞子
肺経の清熱類 : 芦根・竹葉・山梔子・天花粉・地骨皮