花見

 毎春、休みの日に近所の隅田川沿いの川辺を散歩しながら桜を観賞するのが慣例です。 しかし、今年は、忙しくてなかなか休みを取れないか、休日なのに天気が悪くて家にこもってしまうかの理由で、桜を見ることができませんでした。

 桜は公式には日本の国花ではないですが、国花のように扱われています。 毎年、春になると花見のシーズンになり、桜木の下にシーツを敷いて人が集まり、飲んだり・食べたり・しゃべったりして楽しんでいる風景がよく目に入ります。 近年、花見の季節になると外国から多くの観光客も桜を見るために、わざわざ日本に訪ねてきます。 自然界は、花が咲き新芽が出ている綺麗な環境で、人々が平和に生活をしていることは幸せだと思っています。3a838a6adbc3ccf9c22ae4c7bdb79187_s

 ある日、友人から「桜のルーツは中国にあるよ」と言われた時、好奇心をくすぐられて桜を調べました。

 現在、桜は世界に広く分布していますが、主な国は日本になっています。 その桜の原産地はヒマラヤ山域で、野生品種は約150もあり、中国では50種類以上となっています。 2000年以上前の秦と漢の時代に、宮廷内に観賞用として既に植えられていました。 唐の時代になってから民家の庭まで広がりました。 その時に遣唐使が、中国の文化の一つとして桜を日本に持ち帰り、改良させて日本の特色のある桜を培育し、世界で桜の有名な国になりました。5d4ee66f1e35f83ce884039f35d6ef3b_s

 『本草綱目』には、桜は櫻桃の項で記録されています。 “時珍曰、櫻桃樹不甚高。 春初開白花、繁英如雪。 葉団、有尖及細歯。 結子一枝数幾顆、三月熟時須守護、否則鳥食無遺也。 塩蔵、蜜煎皆可、或同蜜搗作糕食、唐人以酪荐食之。” 本の中に、桜の木・花・実、実の食べ方について記録されています。 実の櫻桃の効能について“気味は甘・熱・渋・無毒。 「大明曰」平・微毒。 主治は調中、益脾気、令人好顔色、美志、止泄精、水穀痢。”と書いてあります。 櫻桃は、美味しいですが、熱性のため、食べ過ぎると嘔吐、発熱を引き起すことも記載されています。 “櫻桃葉は甘、平、無毒。 蛇に噛まれる時に使う。” “枝は、雀卵斑…、花は、面黒粉滓。”ということが記載され、櫻桃の葉・枝・花は皮膚のトラブルを治療する効能も書いてあります。

 櫻桃の実は “櫻桃処々有之、而洛中者最勝。 其木多陰、先百果熟、故古人多貴之。”洛陽の櫻桃は最も品質のよい果物だと書いてあります。 宋の時代に「苦櫻」ともいわれ、“其苦不能食、雖鳥雀亦棄之”とあり、食べられないものもあることが分かります。 今、売っているサクランボはアメリカやフランスなどの品種を取り入れて日本で改良して定着したものです。

最後に詩を読みましょう 。

  1. 唐・白居易 : “小園新種紅櫻樹、閑繞花枝便当游。”
  2. 宋・方岳 : “山深未必得春遅、処々山櫻花圧枝。 桃李不言随雨意、亦知終是有晴時。”

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