麻疹

 ウイルスによる引き起こされる発熱、咳、鼻の詰まり、鼻水、涙、全身に赤い発疹を特徴とする呼吸器官の伝染病です。 疹の大きさが胡麻のようなので、麻疹といわれています。

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 麻疹は1年中発病がありますが、主に冬・春に流行りやすい感染性の強い伝染病です。 6ヶ月以上5歳までの幼児の発病率が高く、1回発病されると終身免疫となります。

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 メカニズム

疫癘時邪が口鼻から肺に侵入し肺衛の症状が現れ、邪気が進んで脾に侵入し、気と津液を消耗される。

しかし、順調に発疹(順証)せず、臓腑に侵入内陥されると、逆証(悪化した状態)・険証(危険な状態)となり、命を落としてしまうことがある。

 

【逆証(悪化した状態)】

  • 麻毒閉肺 : 発疹不暢、持続高熱、咳、喘息、呼吸困難
  • 邪入肺胃(熱毒攻喉) : 発疹不暢、持続高熱、咽喉腫痛、声の嗄れ、咳の声が犬の吠える声のよう
  • 熱移大腸 : 下痢
  • 毒結陽明 : 口内炎、牙疳(はぐきの化膿)
  • 迫血妄行 : 出血

【険証(危険な状態)】

  • 邪陥心肝 : 高熱、うわごと、煩躁、発疹不暢、疹色黒紫・斑、ひどくなると意識不明、痙攣
  • 心陽虚衰 : 発疹不暢、疹色薄い、顔色灰白、四肢厥冷、脈微弱

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治療

「麻」は陽毒のため、治療には発表透疹、清熱解毒の方法を中心とし、時期に合わせ、透発・解毒・養陰を行うが、透発の時に津液を消耗しないこと・解毒の時に寒涼しすぎないこと・養陰の時に邪気を止めさせないことに注意する。

順証の弁証論治施膳

1.疹前期(初熱)

【症状】
発熱・微悪風寒・くしゃみ・鼻詰まり・鼻水・咳・瞼赤・なみだ・嗜睡。 発熱の第2~3日から口内の粘膜が赤くなり・奥歯の横に麻疹粘膜斑、尿少黄色、または下痢。 舌苔薄白・黄色

【分析】
麻疹時邪が肺を侵し、肺気不宣、衛気と邪気が体表で戦う

【立法】
辛涼透表、清宣肺衛

【方剤】
宣毒発表湯(升麻・葛根・枳殻・防風・荊芥・薄荷・木通・連翹・牛蒡子・竹葉・甘草・前胡・桔梗)

【食薬】
辛涼解表類

 

2.出疹期(見形)

【症状】
持続発熱・疹が潮熱による発疹・瞼赤・目やにが多い・のどが渇く・咳がひどくなる・煩躁・嗜睡。 舌質紅舌苔黄・脈数

発疹の順番 : 耳後 → 顔面 → 頚 → 胸 → 腹部 → 四肢 → 手・足の裏・鼻先端

疹の状態 : 細小・希少 → 密 → 赤 → 暗紅 → 凸

発疹から完全に透発するまで約3日間

【分析】
熱により発疹することは麻疹に必ずある過程である

【立法】
清熱解毒透疹

【方剤】
清解透表湯(西河柳・蝉蛻・葛根・升麻・紫草根・桑葉・菊花・甘草・牛蒡子・銀花・連翹)

【食薬】
辛涼解表類、清熱解毒類

 

疹回期(回復)

【症状】
疹が完全に透発した状態。 熱が下がり、咳が減軽、皮膚が麩のように脱屑(フケ)、色が沈着。 精神が元気に回復、食欲が増加、舌質紅舌苔薄浄、乾燥。

【分析】
邪退正復、陰液損傷

【立法】
養陰益気、清解余邪

【方剤】
沙参麦冬湯(沙参・麦問冬・玉竹・甘草・桑葉・白扁豆・天花粉)

【食薬】
滋陰類、清熱類