眼精疲労のための薬膳

眼精疲労は主に肝腎の精血・気血を養って改善します。 補腎養肝・益気養血の薬膳処方を立て、補益の食材と中薬を選びましょう。

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眼精疲労によく用いる食材と中薬

作用 食材 中薬
補気養血 米・山いも・じゃがいも・かぼちゃ・いんげん・
にんじん・ほうれん草・ぶどう・栗・はちみつ・
鶏肉・牛肉・豚レバー・いか・たこ
吉林人参・党参・黄耆・白朮・大棗・
炙甘草・蓮子・地黄・当帰・白芍・
阿膠・何首烏・真珠粉
滋陰補腎 白ごま・牛乳・卵・鴨肉・豚肉・豚まめ・
豚レバー・あわび・ほたて・牡蠣
枸杞子・地黄・石斛・黄精・女貞子・桑椹

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タイプ別

1.肝腎陰虚タイプ

【症状】
目の乾燥と熱感・涙が出ない・のぼせ・ほてり・盗汗・のどが渇く・五心煩熱
舌色が紅色で津液が少ない・脈が弦で細くて速い
【証侯分析】
目の過労・長期にわたるストレス・視力障害・眼底出血・糖尿病・甲状腺機能亢進症・老化などの影響 ⇒ 津液不足に
進行すると陰虚となって目を潤すことができない ⇒ 眼精疲労に
【立法】
滋陰柔肝明目
【食材】
ぶどう・キウイフルーツ・白きくらげ・黒ごま・牛乳・卵・豚肉・豚足・豚レバー・すっぽん・牡蠣・あわび・ほたて・マテ貝・ムール貝
【中薬】
枸杞子・菊花・石斛・地黄・女貞子・桑椹
【方剤】
杞菊地黄丸

 

2.気血両虚タイプ

【症状】
目の疲れ・乾燥・瞼の腫れ・顔色が蒼白・息切れ・声が低い・疲労・めまい
舌色が淡く、舌苔が白い・脈が細くて無力
【証侯分析】
虚弱体質・貧血・目の使いすぎ・目の病気など ⇒ 気血がともに虚に ⇒目の栄養不足 ⇒ 眼精疲労に
【立法】
益気補血養目
【食材】
米・山いも・かぼちゃ・にんじん・ほうれん草・椎茸・ぶどう・ライチ・ブルーベリー・ひじき・豆類・ピーナッツ・はちみつ・牛肉・鶏肉・豚レバー・豚ハツ・うなぎ・すずき・いか
【中薬】
吉林人参・太子参・党参・山薬・黄耆・大棗・飴糖・当帰・熟地黄・竜眼肉・白芍・阿膠
【方剤】
八珍湯

 

3.気滞血瘀タイプ

【症状】
目の疲れ・乾燥・目の奥の痛み・瞼の周囲が黒い・表情が暗い・精神不安・ため息
舌色が紫紺あるいは瘀点・舌苔が白い・脈が弦渋
【証侯分析】
気滞の体質・ストレスや精神的な疲れ・食生活の乱れなど ⇒ 肝気の巡りが停滞 ⇒ 血流ダウン ⇒ 目に運ばれる栄養不足
【立法】
理気活血明目
【食材】
そば・青梗菜・えんどう豆・みかん・オレンジ・レモン・だいだい・ジャスミン
【中薬】
陳皮・仏手・薤白・刀豆・緑蕚梅・薄荷・当帰・川芎・紅花・赤芍・鬱金・姜黄・地竜・玫瑰花
【方剤】
柴胡疏肝散
通竅活血湯

 

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眼精疲労

 眼精疲労とは、眼底・眼圧・視野などの検査では何も異常はないにもかかわらず、目に現れるさまざまな症状のこと。 軽い段階を「目の疲れ」、ひどくなると「眼精疲労」といわれます。 よくみられる症状は、眼球の脹痛・目瞼のむくみ・目の乾燥・かすみ目・充血・目の疼痛・視力低下・頭痛・めまいなど。 ひどい場合は、イライラ・吐き気なども…。

 また主に、肝が目に開竅するので、眼精疲労は「肝労」ともいわれています。

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原因

目の使いすぎ : テレビ・コンピューター・ゲーム機器の見すぎ ⇒ 精気を傷める ⇒ ドライアイなど

ストレス : 不眠・不安・怒りっぽい・悲しいなどの情志の異常 ⇒ 肝を傷める ⇒ 目の充血と疲れ

目の器質性障害 : 近視・乱視・老眼・白内障・緑内障・眼瞼下垂・眼底出血など様々な原因 ⇒ 目の疲れ

食生活の乱れ : 飲みすぎ・食べすぎなど ⇒ 瞼のむくみ・遅鈍・目の動きが鈍くどんとしている・疲れなど

紫外線・大気汚染 : ⇒ 目のかゆみ・涙・視力低下

他の病気の影響 : 糖尿病による網膜症・甲状腺機能亢進症による突眼症・更年期障害や腎臓病や動脈硬化による瞼のむくみ ⇒ 眼精疲労

先天的要因 : 先天性の目の病気

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五輪学説

 最も古い眼科の書籍『秘伝眼科龍木論』に「目は、五臓の精明が現れるところであり、自然界における日(太陽)や月のような、大事に保護しなければならない場所である。 腎は骨を主り、腎の精気の盛衰が現れる場所は瞳孔となる。 肝は筋を主り、肝の盛衰は黒目に現れる。 心は全身の血を主り、心の盛衰は目尻に現れる」と記載されています。 これらの理論によって目の外部から内部までを5つの部分に分け、それぞれ対応する五臓との関係を表した「五輪学説」が生まれました。
 目の各部位には五臓の働き・正気の盛衰が反映されるため、目の状態をみることで、五臓の状態を知ることができるのです★

五部 黒目 目尻 白目 瞳孔
五輪 風輪 血輪 肉輪 気輪 水輪
部位 角膜
虹彩
前房
内側と外側
(目頭と目尻)
涙器
血管
眼球結膜
眼瞼の皮膚
筋肉
眼瞼結膜
眼瞼結膜
強膜
瞳孔
水晶体
硝子体
眼底
五色
(健康な状態)
光沢があり
澄んでいる
潤沢でピンク色 弾力があり微黄色で
つやがある
潤沢 目が輝き、
視力がよい
五臓
組織 血脈 四肢・肌肉 皮毛

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こどもの腹痛

 腹痛は小児時期によくある証候の1つ。 胃脘以下から臍の辺り、恥骨連合上縁までの部位に発生する疼痛のことです。

 

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  1. 寒邪侵入 : 風寒邪気、冷たいものの食べ過ぎなど ⇒ 寒邪が胃腸に侵入
  2. 乳食積滞 : 飲食停滞、暴飲暴食 ⇒ 気機を阻滞 ⇒ 伝化失調
  3. 熱結胃腸 : 積滞不化、内熱を生じる
  4. 臓腑虚冷 : 体質虚弱、臓腑機能の失調、病気 ⇒ 脾胃虚弱
  5. 気滞血瘀 : けが、手術後、慢性病気によるもの

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腹部中寒タイプ

【症状】
腹部の突然の激痛、発作的、寒気にあうと加重、腹鳴、温めるとよくなる
顔色が蒼白、四肢の冷え、のどが渇かない、または嘔吐、下痢、尿が澄んでいて排尿時間が長い、舌色が淡紅色、舌苔が白くて滑、脈が沈弦緊

【分析】

  1. 寒邪の侵入
  2. 冷たいもの、なまものの過食のため陰寒邪気によって陽気が損傷され、温める働きが低下した

【治療方法】
温中散寒、理気止痛

【方剤】
養臓湯(当帰、沈香、木香、肉桂、川芎、丁香)
良附丸(高良姜、香附子)

【食材】
紫蘇、生姜、白ねぎ、コエンドロ、シナモン、ジンジャーパウダー、花椒、米、もち米、鶏肉 

【メニュー】
生姜もち米粥(生姜、鶏の挽肉、もち米、紹興酒、塩)

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乳食停滞タイプ

【症状】
脘腹部の疼痛、膨満感、患部を触られるのを嫌がる、食欲なし、げっぷ、しゃっくり、吐き気、嘔吐後気分がよくなる、吐き物が酸臭、おなら、下痢または便秘、悪臭、排泄後腹痛が緩和
舌苔が厚くてじゅくじゅくしている、脈が沈滑

【分析】

  1. 暴飲暴食
  2. 飲食不節
  3. 脾胃虚弱による食滞胃脘 ⇒ 胃気上逆

【治療方法】
消食導滞、行気止痛

【方剤】
香砂平胃散(香附、蒼朮、陳皮、厚朴、砂仁、山楂子、神曲、麦芽、枳殻、芍薬、炙甘草)

【食材】
橘皮、らっきょう、大根、大麦、山楂子、なた豆、玫瑰花、ジャスミン、そば

【メニュー】
橘皮と山楂子のジュース(橘皮、山楂子、大麦、決明子)