産後の病気①

 c8e550d3330b9100ccdb38a2e9869ac5_s胎盤が娩出(べんしゅつ)後から母親の生殖器官が正常に回復の間を産褥期(さんじょくき)といい、約6週間がかかります。 この産褥期に発生する出産と関係する病気を産後病といいます。

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1.よく見られる産後病

子宮回復

気血損傷

母乳

感染

尿・便

腹痛

血暈(めまい)

欠乳(母乳不足)

発熱

小便不通

悪露不絶

汗証

乳汁自出

痙攣(痙病)

小便淋痛

 

抑鬱

 

 

※大便困難

 

血労

 

 

 

 

身痛

 

 

 

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2.産後病の原因

  1. 傷津亡血
    出産する時の出血、汗、局部の損傷、産後の哺乳などのことにより津液と血が消耗される。
    めまい・痙攣・発熱・血労・小便淋痛・大便困難を引き起こす。
  2. 元気損傷
    出産する時に力を使う、傷津亡血により気も消耗される、産後の子育てなどにより元気虧損、衝任不固を招く。
    小便不通・悪露不絶・乳汁自出・汗・発熱・血労を引き起こす。
  3. 瘀血内阻
    出産・出血による経絡を損傷し、胞衣不下などにより瘀血を引き起こす。 また、産褥期に風寒熱邪気の侵入により気血の流れが悪くなり瘀血の原因にもなる。
    腹痛・発熱・悪露不絶・抑鬱を引き起こす。
  4. 飲食不節、房室不節、情志不舒(しょ)、六淫邪気の侵入などの原因で、「産後百節空虚」という体の状態に陥り、わずかな不注意で産後病を引き起こす。

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3.産後病の治療原則

上述の原因により、産後「多虚多瘀」のメカニズムとなり、治療の方法として

  1. 補虚化瘀 : 益気補血により気血を補充し、瘀血を排泄する力をつける。
  2. 清熱解毒 : 産後の瘀血、毒素を排泄させる。
  3. 益気固表 : 肺気を補い、営血衛気を調和し、腠理を強固する。
  4. 補腎調肝 : 妊娠・出産・母乳による肝腎を消耗するため補充する。
  5. 消導健脾 : 気血を生化するものと補充する。

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4.治療中に注意すること

  1. 寒証の治療に温燥し過ぎないように
  2. 熱証の治療に寒涼し過ぎないように
  3. 解表の治療に発汗し過ぎないように
  4. 攻裏の治療に強し過ぎないように

補虚により邪気を滞らないように、攻邪による正気を傷をつけないように

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5.産後用薬の3つの禁忌

  1. 大汗を禁忌 ⇒ 陽気を傷める、亡陽の予防
  2. 下剤を強く使うことを禁忌 ⇒ 陰液を損傷する、亡陰の予防
  3. 通利小便を禁忌 ⇒ 陰液を損傷する、亡陰の予防

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6.産後の養生dumplings-632203_640

  1. 室内の温度を適度にする。
  2. 空気の通りが良い状態にする。
  3. 飲食は消化しやすい・陰陽のバランスが取れた食事、スープを多めにする。
  4. 冷たい、生もの、刺激性の食事を避ける。
  5. メンタルを良好に保つ。
  6. 産後3ヶ月以内の性生活を避ける。
  7. 陰部の清潔を保つ。
  8. 便通をよくする。

 

スペアリブと地黄の煮込み

津液を補充する「滋陰」「滋陰養血」により肝腎を養います
皮膚のかゆみ・乾燥にお勧めです

スペアリブと地黄の煮込み

【材料(4人分)】
豚スペアリブ 300g
生地黄 3g
黄精 3g
何首烏 3g
当帰 3g
紹興酒 大さじ3
しょうゆ・塩 少々

【作り方】

  1. 豚スペアリブを湯通しする。
  2. 土鍋に1と材料・紹興酒・しょうゆ・水を一緒に入れ2時間煮込む。 途中で塩を加える。

【効能】
豚スペアリブ : 平甘/脾胃腎/益脾補腎・滋陰潤燥
生地黄 : 涼甘苦/心肝腎/清熱涼血・養陰生津
黄精 : 平甘/脾肺腎/潤肺滋陰・補脾益気
当帰 : 温甘辛/肝心脾/補血活血

※ 生地黄・黄精を使う時には鉄・銅の鍋を使わないように! 性質が変わってしまいます。

1人分 148 Kcal : たんぱく質 5.2 g/脂質 12.6 g/Ca 4.0 mg/Nacl 1.0 g

子宮筋腫

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 子宮筋腫は女性によくある良性腫瘤で、中年女性の発病率が高いです。 筋肉と繊維組織でできた筋腫は球形で大きさがそれぞれ、多発性があり、悪化することは少ないです。 子宮筋腫は子宮のいろいろなところに発生し、大きく分けると筋層内筋腫、漿膜下筋腫、粘膜下筋腫が最も多く、95%を占めます。 中医学では「癥瘕(ちょうか)」に属します。

癥(ちょう):固まりが硬い、場所が固定不移、揉んでも散らない。

瘕(か):固まりがあり、場所が固定しない、揉んだら散る。

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症状

子宮筋腫は特別な症状はないが、

  1. 月経痛
  2. 月経時の出血が多くなり、長くなる
  3. 下り物が多くなる
  4. 筋腫が大きくなると下腹部を触ると、しこりを感じるようになり、圧迫感がある。

 

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治療

子宮筋腫の治療として、対症治療を中心とし、止血剤・鎮痛剤・補血剤を用います。 ひどくなるとホルモン療法を行い、エストロゲン(女性のホルモン)の分泌を抑えて、人工的に閉経状態にして、筋腫を小さくしていきます。 最後の手段として手術で筋腫を摘出します。

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メカニズム

気滞 : 肝気鬱結 ⇒ 気血運行の不調 ⇒ 衝脈・任脈を阻滞

血瘀 : 

  1. 気血運行の不調 ⇒ 衝脈・任脈を阻滞
  2. 憂思傷脾 ⇒ 気虚血瘀
  3. 産後胞宮空虚 ⇒ 寒邪侵入
  4. 産後余血未尽 ⇒ 性の生活の不注意 ⇒ 邪気の侵入 ⇒ 邪血相争

痰湿阻滞 : 脾虚・痰湿体質・飲食不節 ⇒ 運化失調 ⇒ 水湿内生 ⇒ 聚而生痰 ⇒ 阻滞胞宮

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治療

1.気滞

【症状】
小腹部の固まり、疼痛が移動性、場所が固定しない、揉んだらなくなる。 胸悶、生理不順、舌苔薄潤、脈沈弦

【立法】
行気活血散結

【方剤】
香棱丸(木香 丁香 枳殻 三棱 莪朮 青皮 川楝子 小茴香)
加減 : 海藻 昆布 橘核 夏枯草

 

2.血瘀

【症状】
小腹部の固まりが硬い、疼痛が固定拒按。 生理不順、舌質黒・瘀点、脈沈渋

【立法】
活血去瘀散結

【方剤】
桂枝茯苓丸(桂枝 茯苓 牡丹皮 桃仁 芍薬)

 

3.痰湿阻滞

【症状】
小腹部の固まり、硬くない、疼痛時作、下り物が多い・色が白・粘り、胸悶、吐き気、舌苔白膩、脈細濡或いは沈滑

【立法】
燥湿化痰・軟堅散結

【方剤】
蒼附導痰丸(蒼朮 香附 天南星 枳殻 半夏 陳皮 茯苓 甘草 生姜 神曲)
加減 : 海藻 昆布 橘核 夏枯草

 

子宮筋腫