がんの薬膳処方

 食生活はがんの発生と密接に関連しています。 普段の生活で注意していれば、がんの発生を抑えることは可能だと考えられます。 しかし、いったんがんと診断されると、主な治療方法は手術・化学療法・放射線療法・対症療法・中医中薬などです。 それに合わせて献立を立てるようにしましょう。577832dc7468f458386ab3e2eefb8a59_s

 

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抗がん作用のある食材

食材 効能
カリフラワー・キャベツ・もやし・チシャ・かぼちゃ・グリーンピース ビタミンC・Eを含み、発がん物質の発生を抑える。
ほうれん草・にんじん・大根・白菜・山東菜・セロリ・ししとう(少量)  カロチンがビタミンAに転化し、細胞を保護してがん化を抑え、正常な細胞の再生を助ける。
じゃがいも・大根・にんじん・にんにく・白菜・ほうれん草・セロリ・香菜・もやし・かぼちゃ・グリーンピース・大豆・チシャ ビタミンA・C・Eを含み、リンパ細胞の増殖と分化を促進して免疫機能を増強することにより、抗がん作用を発揮する。
トマト・じゃがいも・大根・ししとう・大豆  粘膜を保護し、がんを予防する。 繊維が豊富で便通を保ち、発がん物質の排出を促進する。
しいたけ・きくらげ  インターフェロンを誘発し、細菌とウイルスの感染・増殖を抑制することができる。 同時に正常細胞のがん化とがんの転移を抑える。
あわ・しいたけ・にんにく・とうもろこし・玉ねぎ  セレン(Se)を含み、がんの発生を抑制する。
緑黄色野菜・卵・牛乳・レバー・肉  粘膜を強化し、がんに対する抵抗力を高める。
穀類・豆類・いも類・とうもろこし  腸の動きをよくし、便通を改善することにより、腸がんを予防する。 がん細胞を抑制するヌクレイン酸(核酸)やミネラルを含む。

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抗がん作用のある中薬

作用 中薬
清熱瀉火 夏枯草・山梔子・児茶・天花粉
清熱解毒 魚腥草・蚤休(七葉一枝花)・草河車・山豆根・敗醤草・金銀花・蒲公英・
板藍根・山慈姑・半辺蓮・半枝蓮・土茯苓・白頭翁・馬歯莧・鴉胆子・
紅藤・石見穿・蛇莓・白毛藤・鬼針草・鳳尾草・白花蛇舌草
清熱燥湿 苦参・黄柏・黄芩・野菊・馬尾連
清熱涼血 紫草根
祛風除湿 腫節風
利水滲湿 薏苡仁・小葉金銭草・茵蔯・虎杖
瀉下 大黄
化痰  半夏・栝楼・土貝母・黄薬子・海藻
活血化瘀 穿山甲・莪朮・土鱉(蟄虫)・降香
息風止痙 蜈蚣・全蝎
補益 冬虫夏草・南沙参・大棗
収渋 石榴皮
攻毒殺虫 蟾酥・蜂房・木芙蓉
民間薬 喜樹・白英・竜葵・藤梨根・天葵・鉄樹葉・胡桃樹枝・断腸草・椿根皮・鵝不食草

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がん

 現在、伝染病・肺炎・結核・脳血管疾患などに変わり、がんが死因の第1位を占めています。291377

 

 

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古典にみるがん

 隋代の『諸病源候論』には、「石癰は、乳房にある小さな固まりで、皮膚は赤くなく微熱と軽い痛みがある。 足陽明胃経が虚弱で風寒邪気が侵入し、血流が悪くなるのが石癰の原因である」とあります。 これは、乳がんについての記載です。

 宋代の『婦人大全良方』には「はじめに乳房に医師のような固まりができ、皮膚は赤くなく痛みもない。 歳月をかけて大きくなり、岩崩れのように、また熟したざくろが割れるように表面が破れる。 根が深いものは乳岩という。 その原因は肝鬱乗脾・気血両虚である」とありますし、また『聖済総論』には「瘤は『滞る』という意味」、『衛済宝書』には「癌の初期は特に症状はなく、筋肉痛と微熱があるだけが、だんだん皮膚が腫れ、色が青暗となる」とあります。

 清代の『瘍科心得集』には「腎岩は陰茎の先に発疹・結節のような固まりができて、破れると膿が流れ、悪臭がある(陰茎は腎に属するため陰茎がんも腎臓がんに属する)。 肝腎虚弱の体質で、悲・憂・思・怒などの七情により肝血を傷め、虚火内盛・火邪鬱結のため筋肉を灼傷するのが原因である」という記載があります。

 このように、伝統中医学の認識では、がんは「局部が固くなり変形するもの」とされ、「石癰」「瘤」「岩」「癌」などの病名で呼ばれています。

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原因

1.邪気侵入

 従来、風・寒・暑・湿・燥・火の六淫邪気がからだに侵入して長く留まると、臓腑の気血陰陽の失調を引き起こし、熱毒・気滞・血瘀・痰濁が生じて固まりの症状が発生するとされています。 現代では、これに加え、大気汚染・水質汚染・土壌汚染・放射能などの毒邪気の侵入も、がん発生の新しい外因となっています。

2.情志失調

 悲・憂・思・怒などの七情により気滞血瘀を引き起こし、津液の代謝が停滞 ⇒ 痰湿・瘀血が生じる ⇒ がんに

3.飲食不節

 食生活の乱れや、塩辛いもの・酒・漬けもの・揚げもの・焼きものなどを多く摂ると脾胃を傷め ⇒ 受納・腐熟・運化機能が低下 ⇒ 水穀精微の生成不足に ⇒ からだの正気が虚弱&脾胃の昇降機能悪化 ⇒ 津液代謝が停滞 ⇒ 痰湿が生じる ⇒ がんに

4.老化

 中高年者では、老化により臓腑の働きが低下 ⇒ 正気虚弱 ⇒ 免疫力低下 でがんの発病が多くなります。

5.臓腑機能の失調

 体質・他の病気の影響・養生不足などで臓腑の働きが失調し、陰陽バランスが崩れます。 気血の巡りも滞り、痰湿・気滞・血瘀・食積が生じて邪気がたまり、がんが発生‼

 

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