がん

 現在、伝染病・肺炎・結核・脳血管疾患などに変わり、がんが死因の第1位を占めています。291377

 

 

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古典にみるがん

 隋代の『諸病源候論』には、「石癰は、乳房にある小さな固まりで、皮膚は赤くなく微熱と軽い痛みがある。 足陽明胃経が虚弱で風寒邪気が侵入し、血流が悪くなるのが石癰の原因である」とあります。 これは、乳がんについての記載です。

 宋代の『婦人大全良方』には「はじめに乳房に医師のような固まりができ、皮膚は赤くなく痛みもない。 歳月をかけて大きくなり、岩崩れのように、また熟したざくろが割れるように表面が破れる。 根が深いものは乳岩という。 その原因は肝鬱乗脾・気血両虚である」とありますし、また『聖済総論』には「瘤は『滞る』という意味」、『衛済宝書』には「癌の初期は特に症状はなく、筋肉痛と微熱があるだけが、だんだん皮膚が腫れ、色が青暗となる」とあります。

 清代の『瘍科心得集』には「腎岩は陰茎の先に発疹・結節のような固まりができて、破れると膿が流れ、悪臭がある(陰茎は腎に属するため陰茎がんも腎臓がんに属する)。 肝腎虚弱の体質で、悲・憂・思・怒などの七情により肝血を傷め、虚火内盛・火邪鬱結のため筋肉を灼傷するのが原因である」という記載があります。

 このように、伝統中医学の認識では、がんは「局部が固くなり変形するもの」とされ、「石癰」「瘤」「岩」「癌」などの病名で呼ばれています。

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原因

1.邪気侵入

 従来、風・寒・暑・湿・燥・火の六淫邪気がからだに侵入して長く留まると、臓腑の気血陰陽の失調を引き起こし、熱毒・気滞・血瘀・痰濁が生じて固まりの症状が発生するとされています。 現代では、これに加え、大気汚染・水質汚染・土壌汚染・放射能などの毒邪気の侵入も、がん発生の新しい外因となっています。

2.情志失調

 悲・憂・思・怒などの七情により気滞血瘀を引き起こし、津液の代謝が停滞 ⇒ 痰湿・瘀血が生じる ⇒ がんに

3.飲食不節

 食生活の乱れや、塩辛いもの・酒・漬けもの・揚げもの・焼きものなどを多く摂ると脾胃を傷め ⇒ 受納・腐熟・運化機能が低下 ⇒ 水穀精微の生成不足に ⇒ からだの正気が虚弱&脾胃の昇降機能悪化 ⇒ 津液代謝が停滞 ⇒ 痰湿が生じる ⇒ がんに

4.老化

 中高年者では、老化により臓腑の働きが低下 ⇒ 正気虚弱 ⇒ 免疫力低下 でがんの発病が多くなります。

5.臓腑機能の失調

 体質・他の病気の影響・養生不足などで臓腑の働きが失調し、陰陽バランスが崩れます。 気血の巡りも滞り、痰湿・気滞・血瘀・食積が生じて邪気がたまり、がんが発生‼

 

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