去る9月の末、東京で『中医基本名詞術語中日英対照国際標準』辞典が出版されました。とっても嬉しいことです。
周知のように中医薬(中国伝統医薬学)は日本で長い歴史があります。隋、唐の時代から日中両国間に文化医学の交流が始まり、江戸時代には高度な発展を遂げました。多くの名医が現れ、たくさんの専門書も輸入され、数多くの著書も出版されました。明治になって西洋近代医学を積極的に受け入れたため中医薬の発展は停滞しましたが、20世紀半ばに中医薬は復興しました。また1980年代より中国から多くの中医師が来日し、中医薬の伝播と普及に新しい力を注ぎ込みました。
中国も日本も漢字を使います。中医学用語の領域で使われている漢字は比較的大きなギャップはありませんが、日本語は音読・訓読が混在しており、近代的な文の読み方、古文の読み方と違いがあり、同一の用語に数種類の読み方が使われていました。そこで世界に向けて、中医学の専門用語の読み方を統一する必要がありました。また中国語と日本語を照らし合わせる以外に英語も併記し、中医名詞用語の国際標準を作成することが更に重要だと思っていました。
そこで2017年11月に私が提案し、世界中医薬学会連合会と『中医基本名詞術語中日英対照国際標準』辞典を製作する協力協議を締結しました。それから本草薬膳学院を中心にして仕事が始まりました。日本在住の約80名の中医学の専門家によって製作委員会を成立し、およそ2年の年月をかけて中国語の中医基本名詞術語を翻訳し審査を行いました。また東洋学術出版社に編集と出版を依頼しました。
2018年6月、世界保健機関(WHO)は第11版『国際疾病の分類』(ICD―11)を公布し、2019年5月に世界保健機関大会に提出し正式に許可されました。今回の改正では初めて伝統医学の病証分類がその中に組み入れられています。これは中国伝統医学が“世界の医学”への重要な第1歩を踏み出したことを意味しており、各種の言語による標準用語辞典『中医基本名詞術語国際標準』の需要が増すことになるでしょう。
今回、中医学の国際化、標準化の一環として、『中医基本名詞術語中日英対照国際標準』辞典が正式に出版されたことは、非常に重要な意味があります。専門用語の読み方について、中国語とピンイン、日本語とひらがな、英語、中薬ならラテン語が記載された使いやすい工具書(主に原典一次資料を読むための辞書・辞典)になります。
私はこの仕事と関われたことに非常に誇りを持っています。
参加した皆様、大変お疲れ様でした。改めて御礼申し上げます。