古くから中医学では「寒証」・「熱証」をよく弁証します。 治療では「寒者熱之」、「熱者寒之」を強調します。 このようなマクロ的見方からの認識が長い間伝わってきました。 「寒証」と「熱証」はミクロ世界の体温とどのようなつながりがあるか? 考えたことがありませんでした。
昨年、早稲田大学人間科学学術院体温・体液研究室の「東洋医学における温度の概念の解明」の研究課題に共同研究として参加してから好奇心を引き起され、中医学の世界では体温に対してどのように考えているのかと思考を巡らせ始めました。 中薬や薬膳は体温への影響はどのようになっているのだろうか? 興味深い研究だと思いました。
3月15日から3日間、早稲田大学の永島教授の研究チームと一緒に北京にある中国中医科学院基礎理論研究所・中国薬膳研究会・北京医院を訪問しました。
中医学の世界は西洋医学と全く別世界です。座談会に参加した科学院の研究員・北京中医薬大学の教授・専門家は『傷寒論』『金匱要略』などの古典から、寒い環境と暑い環境において吉林人参が免疫能力を高める結果の差異から、「寒証」と「熱証」を説明しました。 永島教授は研究による中枢体温・体表体温の差異を論じて、食べ物の体温に対する影響について紹介しました。 短い時間ですが日中両国の専門家がよく意見を交わし、学術交流を行いました。
北京病院は中国の衛生部が直接管理する、政府高官の医療保健病院で、老年医学・糖尿病が重点ですが、社会にも開放している医療、教育、研究を行う現代的な総合性病院です。 全国でも有名な中医科を尋ね、日本語ができる中医師がいらっしゃったので、永島教授の脈を診断してもらいました。
今回の訪問は薬膳料理を食べることも計画の1つですので、中国薬膳研究会の楊鋭会長・荊志偉副会長・山東中医薬大学の教授と先生方に本場の薬膳料理に招待していただきました。 美味しくて、美しかったです。 今回の訪問では中国薬膳研究会の先生方に細々としたお手配・ご招待などいただき、本当にありがとうございました。
3月の北京は柳の新芽が膨らんで春風に吹かれて揺れています。 また何年ぶりかに桃の花が目に入りました。 春はいつも人に希望を与えてくれて嬉しいです。
今回の訪問は今後の教授の研究に役立つと感じました。