2.内傷頭痛
内傷頭痛とは、慢性的な病気によって発生する痛みのこと。 七情と五臓の肝・脾・腎に関係しています。
-
怒・喜・思・憂・悲・恐・驚の七情によって起こされる病気は、気機の巡りが乱れる症状が多いです。 その中で、怒りによる頭痛は気が肝経・胆経に沿って上がることによって、引き起こされます。 思・憂による頭痛は脾胃の気が詰まり、気の上げ下ろしが妨げられるために、清陽の気が上昇不足の状態になって引き起こされます。
-
肝には巡りを主る働きと血を貯める働きがあります。 ストレスなどが原因で肝気が鬱結し、鬱の症状が長期化すると、肝火を生じ ⇒ 脳を犯し ⇒ 頭痛が発生。 また、肝気鬱結によって血瘀が引き起こされると、気滞瘀血の頭痛が現れます。 肝経の頭痛はメンタルと関係が深いのです。
- 腎陰*不足によって肝陽が上がると、陰が虚し陽が強まって頭痛が発生します。
- 腎の陰陽虚損により、髄海(脳)不足になって頭痛が発生します。
-
脾胃(消化器)虚弱によって清陽の上昇する力が弱まったり、気血の生成が足りなくなって脳髄が弱まると、頭痛が生じます。 気虚の頭痛は朝に多く、血虚の頭痛は夕方に多いです。 あるいは、消化器がよわかったり飲食が原因で内湿が生じ、湿によって脾陽のの上昇が邪魔されると、頭痛が生じます。
表2 内傷頭痛の分類
証型 原因 症状 舌・脈 陽虚 陽虚体質・慢性病・老化 頭痛・冷え症・温かいものを好む 舌淡・苔白・脈沈弱 陰虚 陰虚体質・慢性病・老化 頭痛・めまい・耳鳴り・手足の熱感・寝汗 舌赤・苔黄・脈沈細数 肝火上炎 七情・肝気鬱結化火 頭痛・熱感・目赤 舌赤・苔黄・脈弦数 痰湿 痰湿体質・気虚・老化 頭痛・頭が重い・痰多・吐き気 舌体胖大・苔白厚・脈滑弦 気血両虚 虚弱体質・慢性病・老化 頭痛・めまい・疲れ・不眠 舌淡・苔白・脈沈細弱 気血血瘀 肝気鬱結・血瘀状態 頭痛・脹痛・ため息 舌紫・脈沈弦渋
固定ページ: 1 2