肝熱タイプ―陽盛シリーズ②

肝の働きが強盛

1cbc5a81b6b528bad53010393c92a7dd_s 肝は、五行学説では木に属し、火を生じる母です。 また、肝は春に通じており、肝陽を亢進しやすい特徴を持ちます。 そのため、肝熱体質の場合は、陽気上昇の春と陽気旺盛の夏に異常に熱を発生しやすいため、肝熱を抑える必要があります。

【症状】
顔色・目が赤くなりやすい、口の中が苦い、のどの渇き、胸脇部の痛み、胸やけ、イライラする、怒りっぽい、めまい、興奮すると頭痛が起こりやすい、不眠または夢を見る、中耳炎になりやすい、尿が黄色、便秘、舌が紅色、舌苔が黄色、脈弦・速い

【分析】
肝は情緒を調節するため、ストレス・思い込み・神経質などの精神的な素因によって、イライラする、怒りっぽい、めまい、頭痛などの症状が現れる。 鬱が関係の熱に変化して経絡に充満すると、頭・耳・目・脇に症状が現れる。 熱によって精神状態が興奮しやすく、不眠または夢を見る。62a0069a0520907105829d2b8cf45e28_s

【立法】
清肝瀉火

【食材】
肝経の清熱類 : じゅんさい・スベリヒユ・タンポポ・マコモ・トマト・シジミ・カラス貝・カニ

【中薬】
肝経の清熱類 : 荷葉・山梔子・穀精草・夏枯草・生地黄・牡丹皮・紫草・青蒿

心陰虚タイプ―陰虚シリーズ②

血・津液・精といった陰液の不足

 心陰虚体質と密接に関係する季節は夏です。 したがって、夏には心の陰液を滋養する必要があります。 心は五行学説では火に属し、熱を発生しやすいため、清熱する必要もあります。

【症状】
頬が赤い、心悸、不眠、多夢、めまい、忘れっぽい、心煩、両手と両足の裏の熱感、寝汗、舌が紅色、舌の乾燥、脈が細くて速い

【分析】
陰虚体質・精神的な素因・慢性病・老化などが原因となって心陰不足の状態が現れる。 心は心血によって神志を主り、心陰不足には心血不足も含まれるため、心陰不足になると心が神志を主ることができず、不眠、多夢、忘れっぽいという症状が現れる。 また、心陰虚によって心陽が亢進すると、心煩、五心煩熱、潮熱、寝汗の症状が現れる。946ac249cd4ba98b00f5b1db779e5c5c_s

【立法】
滋陰清熱益心

【食材】
心経の滋陰類 : アスパラガス・鶏卵・ロバ肉・牛乳
心経の清熱類 : 小麦・苦瓜・緑豆・茶葉・すいか・りんご・メロン

【中薬】
心経の滋陰類 : 麦門冬・桑椹・百合・亀板
心経の清熱類 : 竹葉・淡竹葉・山梔子・生地黄・牡丹皮・紫草

肝血虚タイプ―血虚シリーズ②

血量が少なく、血質が低下
特に蔵血を主る肝は肝血虚の症状が出やすい

 058512602ee1f2bae9e8244989811650_s肝血虚体質と密接に関係する季節は春です。 春は、肝の疏泄の働きによって肝血を通じて営養を提供しているため、血が消耗されるので、補う必要があります。

【症状】a07fbb6a5e3ec4350a2ce4eef3adecf3_s
顔色が蒼白、爪が淡色、めまい、耳鳴り、不眠、多夢、視力低下、四肢のしびれ、月経の出血量が少ない、無月経、舌色が淡い、舌苔白色、脈弦・細・弱

【分析】
虚弱体質・精神的な素因・出血・慢性病・腸の寄生虫などが原因となって、血量の減少および血質の低下を招き、血虚証となる。 肝血が不足して臓腑の栄養が不足すると、筋・爪・目を養えず、顔色が蒼白・唇や爪の色が蒼白、視力低下、四肢のしびれなどの症状が現れ、神を養えないと、不眠、多夢が現れる。 肝と胆の経絡は頭部・耳の周囲をめぐるため、肝血虚により滋養出来ないとめまい、耳鳴りが現れ、性機能を調節する働きが低下すると、衝脈と任脈の失調、月経不順、無月経となる。bf3509fc96672ce3e0ea6cc73e50dfe6_s

【立法】
養血柔肝

【食材】
肝経の養血類 : ライチ・豚レバー・イカ・タコ・赤貝
滋陰類 : 小松菜・アスパラガス・松の実・黒ごま・鶏卵・ウズラの卵・馬肉・烏骨鶏・ロバ肉・チーズ・スッポン・アワビ・カキ・マテ貝・ムール貝・ホタテ貝・いちご

【中薬】
肝経の養血類 : 当帰・熟地黄・何首烏・白芍薬・阿膠
滋陰類 : 女貞子・桑椹・枸杞子・亀板・鼈甲