脾陽虚タイプ―陽虚シリーズ②

脾胃気虚体質によって脾胃の働きがさらに低下したことによる陽虚

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脾気虚と同じく、脾陽虚体質と密接に関係する季節も梅雨と長夏です。
この2つの季節には、脾気を強く補い、脾の運化水湿の働きを助ける必要があります。

【症状】
顔色が淡白か黄色、四肢の冷え、腹部の冷え、腹痛、暖かくなると寛解する、むくみ、下痢しやすい、おりものが希薄で量が多い、舌質淡、舌苔胖、舌苔白滑、脈沈・遅

【分析】
虚弱体質・飲食失調・過労・慢性病などが原因となって、脾気虚弱の状態から陽虚となる。 気虚体質による息切れ、無気力、汗をかきやすい、めまい、食欲が少ない、腹部の膨満感、消瘦、下痢、疲れやすい、むくみなどの症状とともに、上腹部や腹部の冷えと痛み、四肢の冷え・痛み、水様性の下痢などの症状が現れる。

【立法】
補気温陽健脾

脾陽虚【食材】
脾経の助陽類 : 羊肉・鹿肉・熊肉
補気類 : もち米・かぼちゃ・栗・桃・鶏肉・豚の胃袋・ウナギ・田ウナギ・タチウオ・スズキ・ナマズ・イワシ・タラ・水飴
温裏類 : 唐辛子・ピーマン・桂花・花椒・胡椒・黒砂糖・サケ・アジ・マス
祛湿類 : フグ・さくらんぼ・酒

【中薬】
脾経の助陽類 : 益智仁
補気類 : 吉林人参・白朮・黄耆・炙甘草・大棗
温裏類 : 肉桂・乾姜・高良姜・丁香・小茴香・蓽撥
祛湿類 : 藿香・菖蒲・砂仁・白豆蔲・草豆蔲・草果・木瓜

肺陰虚タイプ―陰虚シリーズ①

血・津液・精といった陰液の不足

8904b7578d850ad192e756898c2dfcf4_s 肺気虚体質と同じく、肺陰虚体質と密接に関係する季節は秋です。 肺は潤いを好み、乾燥を嫌うという特徴をもち、乾燥する秋の気候により肺の陰駅が消耗するため、秋には肺を潤す必要があります。

【症状】
消瘦、のどの渇き、咳や痰がないあるいは少ない、声がかすれる、熱感、心煩、両手両足の裏の熱感(五心煩熱)、寝汗をかく(盗汗)、舌が紅色、舌の乾燥、脈が細くて速い

【分析】
陰虚体質・タバコや飲酒の嗜好・刺激性の強い飲食・慢性病・老化などが原因となって、肺の陰液不足の状態が現れる。 肺は潤されることを好むため、肺陰虚になるとのどの渇き、咳が出やすい、痰がない、声がかすれるといった症状が現れる。 陰虚により陽亢となって内熱を生じると、五心煩熱、潮熱*、盗汗の症状が現れる。

【立法】
滋陰清熱潤肺

IMG_20160722_132720【食材】
肺経の滋陰類 : 小松菜・アスパラガス・白きくらげ・松の実・ひまわりの種・白ごま・鶏卵・鴨の卵・家鴨肉・猪肉・兎肉・牛乳・チーズ
肺経の清熱類 : きび・セロリ・白菜・山東菜・スベリヒユ・きゅうり・ズッキーニ・豆腐・湯葉・こんにゃく・ヒシ・茶葉・バナナ・さとうきび・マンゴー・メロン

【中薬】
肺経の滋陰類 : 麦門冬・沙参・玉竹・黄精・百合・枸杞子
肺経の清熱類 : 芦根・竹葉・山梔子・天花粉・地骨皮

心血虚タイプ―血虚シリーズ①

血量が少なく、血質が低下
特に血脈・神志を主る心は心血虚の症状が出やすい

62a0069a0520907105829d2b8cf45e28_s 心血虚と密接に関係する季節は夏です。 夏には、心血を補い、心の液体を滋養する必要もあるため、滋陰類を組み合わせます。

【症状】
顔色や唇色が蒼白、心悸、不眠、多夢ae884293c8e5c6df48d8713c9e40c541_s、めまい、物忘れ、舌色が淡い、舌苔白色、脈細・無力

【分析】
虚弱体質・出血・消化器官の疾病・慢性病・腸の寄生虫などが原因となって、血量の減少および血質の低下を招き、血虚証となる。 心血が不足して心を養えないと、顔面の滋養不足のために顔面や唇色が蒼白、心悸といった症状が現れ、神を養えないと、不眠、多夢が現れ、脳を滋養できないと、めまい、物忘れが現れる。

【立法】a07fbb6a5e3ec4350a2ce4eef3adecf3_s
養血安神

【食材】
心経の養血類 : にんじん・竜眼肉・豚ハツ
滋陰類 : アスパラガス・鶏卵・ロバ肉・牛乳

【中薬】
心経の養血類 : 当帰
滋陰類 : 麦門冬・桑椹・百合・亀板