肺気虚タイプ―気虚シリーズ①

肺の働きが低下

6d2e8729ff7426c41ea800798bee86ac_s 肺と密接に関係する季節は秋です。 秋は1年のなかで空が高く、空気が澄んでいます。
肺はきれいな空気を好み、潤すことを好むので、秋に通じるとされています。
春に気を上昇させて補う補気類を
使ってケアしますが、できるだけ肺経に入りやすいものを使うほか、肺を潤す滋陰類を使う必要もあります。

【症状】
顔色が白い、疲れやすい、汗をかきやすい、カゼを引きやすい、咳声が出やすい、息切れ、声に力がない、舌色が淡い、舌苔白色、脈虚

【分析】
気の生成不足・慢性病・老化などが原因となって肺気虚弱となり、全身の気と呼吸を主る機能が低下し、ときどき咳、息切れ、無気力が現れ、さらに体を守る衛気が不足すると、汗をかきやすい、カゼを引きやすい、顔色が淡白となる。

【立法】麦門冬茶(秋)
補気潤肺

【食材】
肺経の補気類 : もち米・長いも・じゃがいも・さつまいも・桃・うずら肉・どじょう・鯖・鮫・ローヤルゼリー・はちみつ・水あめ
滋陰類 : 小松菜・アスパラガス・白きくらげ・松の実・ひまわりの種・白ごま・鶏卵・鴨卵・鴨肉・猪肉・兎肉・牛乳・チーズ・いちご

【中薬】
肺経の補気類 : 吉林人参・党参・太子参・西洋参・紅景天・黄耆・山薬・甘草
滋陰類 : 麦門冬・沙参・玉竹・黄精・百合・枸杞子

はと麦茶

はとむぎ茶

【材料】
はと麦 50g
オレンジ皮 10g
塩 少々

【作り方】

  1. はと麦は、一晩水につけておく。
  2. 1を火にかける。 沸騰したら弱火でゆっくり煮てから漉し、塩で調味し汁を飲む。 はと麦を食べる。

【解説】
はと麦の中薬名は「薏苡仁」です。 熱を冷やし、排尿を促進する働きを持っています。 利尿作用を高めるために、性質に合わせて涼性のオレンジの皮を使います。

九層之台起於累土、千里之行始於足下~日本での中医薬教育の心得~ ②

 学校がスタートした当初から中国の大学の教科書、北京中医薬大学に在学していた時のノートを参考にし、教科書作成に力を入れました。 2006年以来、『実用中医学』『実用中医薬膳学』『薬膳の基本』などの教科書が次々と正式出版の運びとなりました。 参考書として『薬膳素材辞典』『一語でわかる中医用語辞典』なども出版しました。 昨年から、研究科の教材と問題集を続々と完成させ、研究科の通信教育も始まりました。

 教育の内容としては、理論と実践を併用するカリキュラムをつくりました。 講義・実習・宿題・試験の通学教育とスクーリングを設置した通信教育、基・床(内科・外科・婦人科・小児科)・経典・中薬・方剤などの研究科教育、お菓子・中国料理・イタリア料理などの応用研究科と各短期講座を作りました。

 講師は日本に留学し、日本語が堪能な中国の中医薬大学を卒業した中医師、日本の先生それに本校の優秀な卒業生が担当し、学校の教育レベルを保証しています。

 開校当初は、固定した教室を持たず、転々と教室を借りて授業を行っていました。 しかし、今は、東京校は交通の便利な場所に定まった教室を持ち、実習ができる設備を備え、教育を行っています。 昨年4月に、福岡教室・大阪教室も開講しました。 今年の秋に札幌教室も開講する予定です。 徐々に日本の大都会に教室を開く計画を立てています。 2009年から認定教室制度を導入し、東京・神奈川県・愛知県で14箇所の教室を認定しています。本草東京校   キッチン

 開校以来、中国国家中医薬管理局に属する第一級学会である中国薬膳研究会(北京)と友好関係を持ち、「国際薬膳師」「国際薬膳調理師」の育成を行い、世界中医薬学会連合会(本部北京)に入会し「国際中医師」も育てています。

 時の流れは「白駒過隙」のようにあっという間に14年が経ちました。 開校当初2人だった学生は、2016年4月までの入学者数は1,536名に達しました。 国際薬膳師(士)、国際薬膳調理師の人数は765名(発行元・中国薬膳研究会)、国際中医師の人数は59名(発行元・世界中医薬学会連合会)です。 卒業した学生は薬膳教室を開いて講師になったり、薬膳の店をオープンしてオーナになったり、あるいはカルチャセンターの中医学・薬膳学の講師になるなどして活躍しており、何より嬉しく思っています。

 大勢の卒業生が「国際薬膳師会」に参加する以外に、いろいろな薬膳に関わる団体に参加し、各地で薬膳の普及に力を尽くしています。

 

続きは次回。