九層之台起於累土、千里之行始於足下~日本での中医薬教育の心得~ ① 

 2001年11月、「薬膳学院」の設立準備が始まりました。

 「安身之本必資于食(安穏で健康的な人生の根本は食にある)」は孫思邈の言葉ですが、中医学の根本は食にあると新たに認識しました。 日本で中医学を普及させるためには、日常生活に欠かせない飲食から始めるのが一番適切だと考えました。 この学問には多くの食材・中薬が使われているため、学校の名前を明の李時珍の《本草綱目》の「本草」に因んで「本草薬膳学院」と名付けました。

 伝統医学が注目され始めた90年代の末、健康志向の向上につれ、中医薬膳学は再び流行ってきました。 多くの人々が
自分の健康を自分で管理するために中医学・薬膳学を勉強するようになりました。 しかし、本格的に中医薬膳学を教えるところが少ない状況だったので、薬膳学院を設立しようと思いました。 また、中医学の土壌のない日本では、いきなり中医学を勉強することは難しく、その入り本草東京校   ビル外観口は薬膳学にあると思い、本草薬膳学院を発足させました。

 学校として最も重要なことは教育レベルです。 臨床で十数年の医師経歴がある私は、北京中医薬大学の教育を忘れられません。 教壇に立つ高名な先生方が教える奥深い中医学知識は、18歳の私には理解できない内容ばかりでした。 しかし試験のために先ず丸暗記しました。 この暗記した知識は今の私にとっても役に立ち、先生方が示してくださった「教人不侮」の精神は鏡になっています。 わが本草薬膳学院は小さい学校であるといえども高レベル教育を求める責任がある、という信念を持っています。

 

続きは次回。

桃のジャスミン煮

気・陰の両方を補い肝気を発散させる「益気生津理気解鬱」により、肝気鬱結による症状の改善が期待できます

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【材料(4人分)】
桃 2個
ジャスミン茶 大さじ1/2
はちみつ 大さじ1/2
レモンの絞り汁 小さじ1

【作り方】

  1. 桃は皮を剥き一口大に切りレモンの絞り汁をかけておく。
  2. ジャスミン茶を1.5カップ作りはちみつと1を加えひと煮立ちさせる。

【効能】
桃 : 温甘酸/肺肝胃大腸/益気生津・養陰潤燥 ジャスミン : 温甘苦/肝/理気和中

1人分 41 Kcal : たんぱく質 0.5 g/脂質 0.1 g/Ca 3.0 mg/Nacl 0.0 g

腰痛のための薬膳

 腰痛の原因は寒熱・湿熱・瘀血の実証と肝腎虚弱の虚証があります。 薬膳処方を立てるときは、散寒・去湿・化瘀・補肝益腎の作用があるものを使いましょう。

 

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腰痛によく用いる食材と中薬

作用 食材 中薬
温経散寒 生姜・ねぎ・にら・唐辛子・山椒・黒砂糖 桂枝・乾姜・大茴香・小茴香・胡椒・
丁香・高良姜・独活・
木瓜・五加皮・肉桂
清熱利湿 はと麦・あわ・冬瓜・とうもろこし・金針菜・
鯉・鮒
茯苓・猪苓・車前子・白茅根・大薊・小薊・
玉米鬚・冬瓜皮・
通草・金銭草
活血化瘀 青梗菜・らっきょう・酢・酒 川芎・鬱金・姜黄・三七・紅花・丹参・牛膝
補肝益腎 山いも・栗・黒ごま・松の実・くるみ・鶏肉・
うこっけい・羊肉・
熊肉・すずめ・すっぽん・
岩魚・
なまこ・海老
吉林人参・黄精・枸杞子・女貞子・亀板・
杜仲・桑寄生・冬虫夏草・
淫羊藿・肉蓯蓉・
益智仁・莬絲子・
鹿茸

 

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タイプ別

寒湿タイプ

【症状】
足腰が冷える・重たくて痛い・痺れ・天気が悪い時にひどくなり、温めるとよくなる
舌苔が白色・脈が沈遅
【証侯分析】
寒湿の多い環境に長期間生活していたり、生もの・冷たいものの摂りすぎなど飲食の習慣により寒湿の邪気が体内に停留 ⇒ 陽気の巡りを阻滞 ⇒ 血の流れダウン ⇒ 痛み
【立法】
温経散寒・祛湿止痛
【食材】
米・生姜・ねぎ・うど・ピーマン・香菜・山椒・唐辛子・黒砂糖・酒
【中薬】
紫蘇・白芷
【方剤】
独活寄生湯

 

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