胃痛のための薬膳

 中医学では痛みの原因は「不通則痛」としているので、よく通せば痛みはなくなります。
薬膳処方は理気和胃止痛が中心です。 虚実・寒熱・気血をよく弁証して、タイプにあった食材と中薬を選んでくださいね

 

9538c51a96c677d5baf9887ffad38b24_s

 

胃痛によく用いる食材と中薬

作用 食材 中薬
補脾益気

うるち米・もち米・長いも・じゃがいも・
にんじん・いんげん・蓮根・干し椎茸・
ピーナッツ・ライチ・栗・はちみつ・
鶏肉・うこっけい・豚の胃袋(ガツ)・
牛肉・羊肉・どじょう

吉林人参・黄耆・山薬・扁豆・
大棗・飴糖
 温胃散寒止痛  にら・唐辛子・生姜・山椒・胡椒・
赤砂糖・蓮魚・青魚
肉桂・乾姜・大茴香・小茴香・
丁香・桂花
疏肝理気止痛 そば・なた豆・えんどう豆・みかん・
きんかん・らっきょう・ジャスミン
橘皮・仏手・薤白・玫瑰花・
緑蕚梅
活血祛瘀止痛  甜菜・青梗菜・くわい・酢 三七・鬱金・紅花・月季花
健脾袪湿 はと麦・冬瓜・金針菜・鯉 茯苓・藿香・佩蘭・砂仁・菖蒲
消食健胃 大麦・大根・にんにく・トマト 山楂子・神麴・麦芽・穀芽・
莱菔子・鶏内金
清熱益胃 あわ・小麦粉・ゴーヤ・きゅうり・トマト・
すいか・バナナ・りんご・豆腐
麦門冬・石斛・玉竹

 

next page

胃痛

胃痛(胃脘痛)は、上腹部の疼痛を主症とした病症のこと。 吐き気・胸やけ・膨満感・げっぷ・大便の不調(下痢・便秘・血便)などの症状も同時に現れることが多いです。

 

9538c51a96c677d5baf9887ffad38b24_s

 

 解剖学的にみると、腹部には胃・脾・肝・胆・大腸・小腸などの消化系統の器官があり、胃痛はこれらの臓腑の失調により引き起こされることもありますが、下腹部にも影響して腹痛・おなかの脹りを引き起こすことも。 また近くの心・胸脇肋に疾病が起きても、胃痛のような症状が起こることがあります。

 西洋医学における急・慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃痙攣・胃下垂などの疾患は中医学的にみると胃痛として弁証することが多いです。 また中医学ではほかに「吐酸」(胸やけ)「嘈雑」(胃のもたれ)「積聚」「鼓脹」という病気でも胃痛が現れることがあります。

 『黄帝内経霊枢』邪気臓腑病形篇に「胃病は腹脹と胃脘痛の症状がある」という記述があり、『外台秘要』心痛方篇にも「胃気虚のときには腹脹がある。 気が上逆すると心痛のような胃痛の症状が現れる」とあります。

______。o*★*o。_____

消化器官の中医学的生理機能

脾と胃の生理機能

 脾と胃はともに消化器官の主な臓器で、腹部に位置します。 食べ物は脾と胃の消化吸収機能によった水穀精微に変化 ⇒ 気血津液を生成 ⇒ 全身に栄養を提供しています。
 脾は乾燥を好み、湿気を嫌います。 一方胃は、湿気を好み、乾燥を嫌います。
 脾気は「昇清作用*」をもち、胃気は「降濁作用*」をもちます。 これらの機能によって脾・胃の働きが正常に保たれています。

*昇清作用 : 脾の働きの1つ。

  1. 水穀精微を上部にある肺・心・脳へ送る。
  2. 内臓の位置を固定し、臓気の位置が下がることを防ぐ。

*降濁作用 : 胃の働きの1つ。

  1. 飲食物を受納して腐熟したあと、水穀精微を脾・小腸へ、不要物である濁気を大腸へ送る。

 

肝と胆の生理機能

 肝は右の脇腹に位置し、胆は肝の裏にあります。 肝・胆の疏泄を主る作用によって、情緒・気機・血の流れ・水の代謝がスムーズに行われるのです。
 肝・胆の気が伸びやかに上昇することで、脾胃の消化と吸収作用を促進しています。

 

大腸と小腸の生理機能

 小腸は胃で消化された水穀をさらに消化吸収して精微に化生すると同時に、清濁(精微と不必要なもの)を分けて精微物質を脾、不要なものを大腸に送ります。
 大腸は小腸から送られてきた残渣を便として肛門へ送ると同時に、残渣の中にある水分を吸収、津液として再利用します。

 

next page

水ようかん

健脾補腎

【2015.7.2】 004

【材料(10個分 : ごま6個 紅花あん4個)】
中あん
白あん 40g
黒ねりごま 20g
紅花 1g
シロップ 20g

水 300g
砂糖 120g
露草 40g
くず粉 2g(水10g)

【作り方】

  1. 露草と砂糖を合わせておく。                                          
  2. 1に水を入れてよく混ぜ火にかけて煮上げ、くず粉の水どきを入れて全体に混ぜ火を止める。
  3. 黒ねりごまとシロップを混ぜてごまだれを作り6等分にし、白あんと紅花を混ぜて4等分にする。
  4. 容器に2を1/2弱流し、それぞれ中あんを入れて残りを流す。
  5. 冷蔵庫で冷やし型から出す。

【効能】
白あん : 平、甘/脾胃/健脾化湿
黒ごま : 平、甘/肝腎/滋補肝腎、潤燥滑腸
紅花 : 温、辛甘/肝心/活血袪瘀、潤腸通便

【解説】
水ようかんは近年夏の定番和菓子として人気があり、何処の和菓子店でも売られています。
水ようかんの素は寒天をベースにした凝固剤です。
でんぷんの老化がないので美味しさを持続できます。
簡単にできる流しもので、冷凍保存も可能なので持ち運びにも便利です。

 

follow us in feedly