不妊症

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 生育年齢の男女が同居生活して、3年以上非避妊で妊娠しないことを原発性不妊症と言います。 流産後或は産後に3年以上妊娠しないことを続発性不妊症と言います。

妊娠する条件は

  • 女性の排卵が正常
  • 男性の射精が正常(精子の数、形態、活動)
  • 卵子と精子の結合が出来る
  • 受精卵が着床できる

つまり、不妊症は片方の原因だけではなく、男女双方の検査が必要となります。

  1. 排卵の障害 : 卵巣 : 発育不全・炎症・腫瘤・創傷
    垂体機能の不全→無排卵
  2. 精子の生成不良 : 睾丸 : 発育不全・炎症・損傷・手術摘出・放射線
  3. 結合障害 : 輸精管・輸卵管の閉鎖、炎症、畸形
  4. 着床障害 : 子宮内膜の炎症・腫瘤、内分泌の失調 ⇒ 子宮内膜発育不良
  5. 全身 : ストレス、栄養不良、内分泌疾病、結核、炎症

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メカニズム

  1. 肝腎虚損 : 腎気虚体質、性の生活の不節 ⇒ 精血不足 ⇒ 肝腎虚損 ⇒ 胞脈失養
  2. 肝鬱気滞 : ストレス、緊張不安 ⇒ 肝気欝結 ⇒ 衝任失調
  3. 痰湿阻滞 : 肥満 ⇒ 痰湿阻絡 ⇒ 気機不暢 ⇒ 衝任失調
  4. 瘀血 : 瘀血 ⇒ 胞脈 ⇒ 阻滞 ⇒ 両精の結合ができなくなる

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治療

1.肝腎虚損証

腎陽虚

【症状】
月経後期、量が少ない、経色が薄い、あるいは閉経。 顔色が暗い。 腰膝が重だるい、性欲が少ない、頻尿、下痢しやすい、舌淡苔白、脈沈細・沈遅

【立法】
温腎暖宮、調補衝任

【方剤】
毓麟(いくりん)珠(人参、白朮、茯苓、甘草、当帰、白芍薬、熟地黄、川芎、杜仲、菟絲子、鹿角霜、川椒) 
加味 : 紫河車、丹参、香附

帰腎丸(熟地黄、山薬、山茱萸、茯苓、当帰、枸杞子、杜仲、菟絲子)帰腎丸

腎陰虚

【症状】
月経先期、量が少ない、経色が紅。 腰膝が重だるい、めまい、耳鳴り、五心煩熱、不眠多夢、舌紅苔少、脈沈細・細数

【立法】
温腎養肝、調補衝任

【方剤】
養精種玉湯(熟地黄、山茱萸、当帰、白芍薬)
加味 : 女貞子、旱蓮草

帰腎丸(熟地黄、山薬、山茱萸、茯苓、当帰、枸杞子、杜仲、菟絲子)

 

2.肝鬱気滞証

逍遥散【症状】
月経前後不定期、量が多いか少ない、経色が暗い、血の塊がある。 胸脇・乳房脹痛、・少腹脹痛、拒按、鬱状態。 舌質暗紅苔薄、脈弦

【立法】
疎肝理脾、行気養血

【方剤】
開鬱種玉湯(香附、当帰、白芍薬、白朮、丹皮、茯苓、天花粉)
加 : 柴胡

逍遥散(当帰、芍薬、柴胡、白朮、茯苓、炙甘草)

 

3.痰湿阻滞証

【症状】
肥満、月経後期あるいは閉経、量が少ない。 おりものが多い、粘りがある。 体重胸悶、疲れ、苔白膩、脈滑

【立法】
燥湿化痰、行気調経

【方剤】
啓宮丸(制半夏、蒼朮、香附、陳皮、茯苓、神曲)

蒼附導痰丸(蒼朮、香附、陳皮、茯苓、半夏、天南星、枳殻、甘草、生姜)

 

4.瘀血

【症状】
月経後期、量が少ない、経色が暗い、血の塊がある、生理痛。 少腹脹痛・拒按。 舌質紫暗・瘀点、脈細弦

【立法】
温経化瘀、活血調経

【方剤】
少腹逐瘀湯(小茴香、乾姜、生蒲黄、五霊脂、没香、延胡索、当帰、川芎、赤芍薬、肉桂) 
加 : 丹参、香附

秋かぜ―季節のかぜ・秋編

乾燥する時期になってきました。 こういう時期は、かぜを引きやすくなります。 ご注意ください。

秋かぜ

b72c7d95f866abcba7b98b27c74db778_s【症状】
からだの熱・いらいら・のどが渇く・口鼻の乾燥・のどの痛み・咳・痰は少ないか無痰・痰に血が混じる・喘息・胸痛・鼻血。舌が紅色・舌苔が乾燥・脈が浮で速い

【証候分析】
秋は燥が主な節気であり、五行の金に属し、五臓六腑の肺に通じています。 邪気は燥邪です。

秋分の前後で秋は初秋と晩秋に分けられます。 夏に近い初秋を温燥といい、冬に近い晩秋を涼燥といいます。

  1. 水分を消耗しやすい。
    体の津液が損なわれるため、さまざまな乾燥症状がみられます。
    たとえば、鼻の乾燥・のどの渇き・髪の毛と皮膚が乾燥し艶がない・便秘・尿が少ない など
  2. 潤いを好む肺を侵しやすい。
    肺に属する鼻やのどの乾燥・鼻血・空咳・痰が少ない・無痰などの症状を起こしやすくなります。

【立法】
滋陰潤肺 : 陰液を滋養し、肺を潤します。
益胃生津 : 胃を補益し、津液を生みます。

【食材】apple-1085350_1920
パイナップル・バナナ・りんご・梨・柿・キウイフルーツ・びわ(缶詰でも可)・豆腐・白きくらげ・きくらげ・蜂蜜・乳製品

【中薬】
沙参・西洋参・百合・杏仁・川貝母・玉竹・女貞子・麦門冬・石斛

【方剤】
桑杏湯・杏蘇散・清肺湯

糖尿病のための薬膳

 陰虚内熱の段階に入ってから糖尿病と診断されたときには、滋陰清熱・益気生津・調和陰陽の食材や中薬を使います。 血は陰に属するので、滋陰のためには涼性・平性の養血食材や中薬も使われます。

糖尿病によく用いる食材と中薬

作用 食材 中薬
滋陰 小松菜・白きくらげ・ごま・豆乳・牛乳・卵・豚肉・
鴨肉・牡蠣・ほたて
桑椹・枸杞子・黄精・玉竹・石斛・麦門冬・
百合・女貞子・亀板・鼈甲
清熱 あわ・白菜・セロリ・青梗菜・ゴーヤ・チシャ・豆腐 竹葉・淡竹葉・荷葉・山梔子・天花粉・牡丹皮・
生地黄
補気 米・オートミール・山いも・キャベツ・かぼちゃ・椎茸・
豆類・牛肉・鰹・鰯・

吉林人参・紅景天・太子参・黄耆・山薬・白朮・
蓮子

養血 ほうれん草・にんじん・ピーナッツ・豚レバー・豚足・
いか・たこ・まながつお
熟地黄・白芍・阿膠・何首烏

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タイプ別

1.肺熱津傷タイプ(上消)

【症状】
のどが渇き、水分を大量にとる・口が渇き舌が乾燥する・尿が頻繁で量が多い
舌辺が尖っていて紅い・舌苔が薄黄色・脈が速い
【証侯分析】
肺熱熾盛 ⇒ 津液消耗
IMG_20160722_132720【立法】
清熱潤肺・生津止渇
【食材】
セロリ・茶葉・白きくらげ・白ごま・牛乳・卵・鴨肉
【中薬】
麦門冬・百合・玉竹・沙参・生地黄・天花粉・金銀花
【方剤】
消渇方

 

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