腰痛のための薬膳

 腰痛の原因は寒熱・湿熱・瘀血の実証と肝腎虚弱の虚証があります。 薬膳処方を立てるときは、散寒・去湿・化瘀・補肝益腎の作用があるものを使いましょう。

 

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腰痛によく用いる食材と中薬

作用 食材 中薬
温経散寒 生姜・ねぎ・にら・唐辛子・山椒・黒砂糖 桂枝・乾姜・大茴香・小茴香・胡椒・
丁香・高良姜・独活・
木瓜・五加皮・肉桂
清熱利湿 はと麦・あわ・冬瓜・とうもろこし・金針菜・
鯉・鮒
茯苓・猪苓・車前子・白茅根・大薊・小薊・
玉米鬚・冬瓜皮・
通草・金銭草
活血化瘀 青梗菜・らっきょう・酢・酒 川芎・鬱金・姜黄・三七・紅花・丹参・牛膝
補肝益腎 山いも・栗・黒ごま・松の実・くるみ・鶏肉・
うこっけい・羊肉・
熊肉・すずめ・すっぽん・
岩魚・
なまこ・海老
吉林人参・黄精・枸杞子・女貞子・亀板・
杜仲・桑寄生・冬虫夏草・
淫羊藿・肉蓯蓉・
益智仁・莬絲子・
鹿茸

 

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タイプ別

寒湿タイプ

【症状】
足腰が冷える・重たくて痛い・痺れ・天気が悪い時にひどくなり、温めるとよくなる
舌苔が白色・脈が沈遅
【証侯分析】
寒湿の多い環境に長期間生活していたり、生もの・冷たいものの摂りすぎなど飲食の習慣により寒湿の邪気が体内に停留 ⇒ 陽気の巡りを阻滞 ⇒ 血の流れダウン ⇒ 痛み
【立法】
温経散寒・祛湿止痛
【食材】
米・生姜・ねぎ・うど・ピーマン・香菜・山椒・唐辛子・黒砂糖・酒
【中薬】
紫蘇・白芷
【方剤】
独活寄生湯

 

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腰痛

 腰痛は、日常生活で最もよくある症状の1つ。

 

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古典にみる腰痛

 中医学では腰は「腎の府」と言われます。 また骨を主っているので、腰痛は腎とかかわりが深いのです。
 経絡からみると、足の三陰経と三陽経、督脈・帯脈は腰を巡っているため、邪気が経絡に侵入したときも腰痛が起こります。

 『黄帝内経素問』金匱真言論篇には、「北風は冬季に多く、病変は往々にして腎経に発生する……冬は痹証(リウマチなどの関節痛)や厥証の疾病が多い」とあり、季節との関係、また季節による病名などを記述しています。

 漢の時代の『金匱要略』五臓風寒積聚病篇には「寒湿邪気が腎に侵入すると『腎著』という病気となる。 症状としては体重・腰の冷痛・腹部が重く感じる、などがみられる」と記載されていて、寒湿により腰に冷痛が起きる「腎著」という病気を説明しています。

 『景岳全書』腰痛篇には、「腰痛が繰り返して起こる場合は腎虚は原因である。 雨にあったり、あるいは長時間座って発症する痛くて重い腰痛は湿によって起こる。 寒いと痛くなり、温めると良くなる腰痛は寒邪のためである。 熱によって痛みが現れ、冷やすと楽になる腰痛は熱邪が原因である。 うつや怒りで腰痛となるのは気滞である。 憂いにより痛くなるのは気虚腰痛で、労働により痛くなるのは肝腎虚弱の腰痛である。 腰痛は病因を弁証して治療を行うべきである」と記載されています。

 『医学折衷参西録』腰痛篇には、「肝は筋を主り、腎は骨を主る。 腰痛は筋骨の病気で、肝腎の問題である」とあり、腰痛と肝・腎との関係を強調しています。

 

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胃痛のための薬膳

 中医学では痛みの原因は「不通則痛」としているので、よく通せば痛みはなくなります。
薬膳処方は理気和胃止痛が中心です。 虚実・寒熱・気血をよく弁証して、タイプにあった食材と中薬を選んでくださいね

 

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胃痛によく用いる食材と中薬

作用 食材 中薬
補脾益気

うるち米・もち米・長いも・じゃがいも・
にんじん・いんげん・蓮根・干し椎茸・
ピーナッツ・ライチ・栗・はちみつ・
鶏肉・うこっけい・豚の胃袋(ガツ)・
牛肉・羊肉・どじょう

吉林人参・黄耆・山薬・扁豆・
大棗・飴糖
 温胃散寒止痛  にら・唐辛子・生姜・山椒・胡椒・
赤砂糖・蓮魚・青魚
肉桂・乾姜・大茴香・小茴香・
丁香・桂花
疏肝理気止痛 そば・なた豆・えんどう豆・みかん・
きんかん・らっきょう・ジャスミン
橘皮・仏手・薤白・玫瑰花・
緑蕚梅
活血祛瘀止痛  甜菜・青梗菜・くわい・酢 三七・鬱金・紅花・月季花
健脾袪湿 はと麦・冬瓜・金針菜・鯉 茯苓・藿香・佩蘭・砂仁・菖蒲
消食健胃 大麦・大根・にんにく・トマト 山楂子・神麴・麦芽・穀芽・
莱菔子・鶏内金
清熱益胃 あわ・小麦粉・ゴーヤ・きゅうり・トマト・
すいか・バナナ・りんご・豆腐
麦門冬・石斛・玉竹

 

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